「逆光番長レンズ」と言ってもいいかも

ニコン・D750+タムロン・SP35mmF1.8 Di VC USD

 タムロンの2本の新SPレンズについて、もう少しだけ。

 SP35mmもSP45mmも、使ってみて感心したことは逆光に大変に強いレンズであること。最近の高級レンズはどのメーカーのものも逆光に強くなっているが、その中でも、この2本は目立って良かったという印象。
 むろん撮影条件によっては、ゴーストが多少目立つことはあるがこればかりは仕方がない。でもよく抑えている。いっぽう、フレアはとても少なく、逆光悪条件でもすばらしい描写をする。フレアが少ないということは、ヌケがよい、充分なコントラスト、描写はクリアーでシャープ、シャドー部が腰砕けにならない。




 ゴーストやフレアを目立たせないレンズを作るには2つの方策が考えられる。1つは光学や鏡筒でにゴースト/フレアをできるだけ出さないようなレンズ設計する方法。
 実際にレンズを試作しなくても、レンズ設計と並行して光線追跡のシミュレーションを繰り返していけば、どこにどんなゴーストやフレアが出てくるか、あらかじめわかる。そのシミュレーションの結果を見ながら修正したり改善してレンズや鏡筒を設計していけばよい。
 それじゃあ、その方法でがんばってレンズ設計すればイイじゃないか、と考えるだろうが実はそこが難しい。ゴーストやフレアを目立たないように光学設計をやろうとすると、たとえば解像描写性能が犠牲になってしまうということもある。コストもアップする、レンズは大きく重くなる…などなど。

 ゴースト/フレアを出さないもう1つの方策は、有効なレンズコーティングを施す方法。
 最近、レンズコーティングの技術は飛躍的に進歩してきている。とくに、いわゆるナノ構造の特殊コーティングが開発され、それが採用されるようになってゴースト/フレアは大幅に低減した。ただし欠点は高価であることと、使用できるレンズ面に制限があること。
 タムロンでは従来のBBARコーティングをベースにしながら、ナノ構造のeBANDコーティングを効果的に使用し、さらに光学や鏡筒の設計を工夫することでゴースト/フレアの発生を抑え込んでいるという。2本のSPレンズを逆光で撮ってみると、うんなるほど、タムロンが自慢するだけのことはある、と思わせられる。

 ところで前回のブログで、SP35mmとSP45mmfの2本とも最短撮影距離がとても短いのが特長だ。一般的に、至近撮影になればなるほど収差変動などのために描写性能が低下するが、しかしタムロンはそれを防ぐためにフローティング機構を取り入れたレンズ設計をしている、そんなことを述べた。

 以下のレンズ断面イラストはSP35mmF1.8のもの。9群10枚構成のレンズだが、AFでのピント合わせでは前レンズ群と後レンズ群の「2群」がフローティングする。前群はレンズ5枚に加えてVC(手ぶれ補正)機構と絞り機構がセットになっている。後群もレンズ5枚。
 この大きく重い前群と後群が撮影距離に応じて、群の間隔を微妙に調節しながら高速に正確に動かせている。実際にAFしてみればわかると思うが、とてもそんな「チカラわざ」をやっているとは感じないほど滑らかで高速なのだ。あれこれ苦労しただろうと思う。