コンテンポラリーラインの30mmF1.4レンズ 《 その1》

シグマ・30mmF1.4 DC DN+オリンパス・OM-D E-M1

 シグマは数年前に、3つのプロダクトライン方式を導入した。交換レンズをシグマ内で「ブランド化」しようとするものだ。このプロダクトライン方式を導入して以降、すべてのレンズは「3つのライン(枠)」のどれかに振り分けられてから設計、製造され発売されている。
 このプロダクトライン、大変に説明が難しいのだが(じつは、ぼくもよくわかっていない)、シグマが発売するレンズはすべて、レンズの品質や品位、使用目的などによってラインに分けてシリーズ化している。

 このシグマ・プロダクトラインは「松竹梅」や「上中下」といった単純な区分けではない。3つのラインに分類するには、シグマ内にいろんな約束事や基準があるらしいのだが、しかし外部のものにはそれがイマイチわからない。シグマもそれを積極的に公表しない。
 むろん、他のメーカーのレンズはこうしたプロダクトラインの思想はない。シグマ独自、独特のものだ。




 プロダクトラインにはアート、スポーツ、コンテンポラリーの3つがある(3つしか、ない)のだが、ごくごく簡単に言えば、アートラインはシグマが定めた優れた光学技術と製造技術を駆使して作り上げられた大口径レンズ、スポーツラインは望遠系レンズ、コンテンポラリーラインはコストパフォーマンスを重視して設計されたおもにズームレンズ。
 ということになっているのだが、当初の狙いから少しづつズレてきて「枠」からはみ出すようなレンズもちらほら出始めてきた。

 たとえば、2本の150~600mmズームレンズがそうだ。ほとんどそっくりなスペックで、スポーツラインとコンテンポラリーラインのレンズがほぼ同時に発売された。開放F値(ほんのわずか)や光学設計(それなりに)、価格(相当に)が異なるがカバーする焦点距離は同じだし、サイズもそれほど違いはない。
 撮り比べてみれば、「安いコンテンポラリーのレンズなのに、へぇ、こんなに良く写るのか」と驚いたと同時に、いっぽう10万円も高いアートのレンズなのに際だって優れた描写性能が(ぼくには)あまり感じられなかったのが印象に残っている。
 150~600mmズームは、強引にアートラインやコンテンポラリーラインの「枠」の中に押し込んでしまったような感じがしないでもなかった。ユーザーとしてはちょいとわかりにくい。

 それと似たような印象を受けたのが、そう、このコンテンポラリーラインとして発売した30mmF1.4 DC DNレンズだった。フォーサーズ用マウントとソニーEマウント(APS-Cサイズ用)がある。
 コンテンポラリーなのにF1.4という大口径だし、大きいレンズだし、価格も高い。開放F1.4から大変に良く写る。素晴らしい描写性能なのだ。アートラインのレンズ、といってもいっこうに差し支えない、そんな感じ……。
 なにか「ワケあり」かと疑っていたら、「なーんだ、そうだったのか」と気づいたことがあった。