コンテンポラリーラインの30mmF1.4レンズ 《 その2》

シグマ・30mmF1.4 DC DN+オリンパス・OM-D E-M1

 このシグマ30mmF1.4レンズには「DC」と「DN」という"シグマ独自の記号"が付いている。DCの意味するところはAPS-Cサイズセンサー対応のレンズ、DNはフランジバックの短いミラーレスカメラ対応のレンズであるとの意味。
 すなわち30mmF1.4レンズは、ミラーレスカメラ用でAPS-Cサイズセンサーをカバーするイメージサークルを備えたレンズということになる。いまのところ対応マウントはソニーEマウント用と、マイクロフォーサーズ用がある。今回使用したのはマイクロフォーサーズ用マウントの30mmF1.4レンズだった。




 APS-Cサイズセンサーのサイズに比べればマイクロフォーサーズは二回り以上も小さい。実写画角でいうと、APS-Cサイズでは約45ミリ相当、しかしマイクロフォーサーズでは約60ミリ相当となる。イメージサークルの大きさで言えば、APS-Cサイズは直径が約28ミリの円になるが、マイクロフォーサーズセンサーだと直径は約22ミリとだいぶ小さい。
 ということは、30mmF1.4レンズをソニーEマウントカメラで使用するのと、マイクロフォーサーズのカメラで使用するのでは、とくに周辺部の描写性能ではマイクロフォーサーズのほうがだいぶ良いはずだ。

 ただし残念ながら、ぼくはこの30mmF1.4のソニーEマウントを使って実写していないので、APS-Cサイズでの描写実力がどの程度か不明ではあるが……たぶんマイクロフォーサーズでの描写と同等というわけにはいかないだろう。
 マイクロフォーサーズではイメージサークルの中央部付近の「いいところ」を使うわけだから、画面の中央部から周辺部にかけて均一で優れた描写性能が確保できる。シグマが公表しているMTF図を見てみればわかることだが、マイクロフォーサーズの最大像高である約11ミリあたりまではほぼ水平状態で、それを越えるとコントラストが急激に低下してしまっている。

 マイクロフォーサーズにとっては大変に贅沢な使い方をしているためもあって、写りがイイのはとうぜんだと言える。高性能なフルサイズ判対応のレンズをAPS-Cサイズのカメラで使用するのと同じと考えればよい。
 まったく同じ光学系の30mmF1.4レンズでも、ソニーEマウントだと「コンテンポラリー」相当だが、マイクロフォーサーズマウントだと「アート」相当になるという2つの顔を持ったレンズといえなくもない。

 というわけで、このシグマの30mmF1.4レンズはマイクロフォーサーズのカメラユーザーにとってはちょっと注目しておきたいレンズのひとつ。F1.4の開放絞り値から、なんの遠慮も心配もなく撮影ができる。
 60mm相当の画角で最短撮影距離も30センチだから、けっこうなクローズアップができるし、その近接時の描写もいい。マイクロフォーサーズカメラにとっては文句なしのアートラインのレンズだとぼくは思う。

 ところで、ひとつ不思議なことがあって、それは、この30mmF1.4レンズがAPS-Cサイズをカバーするイメージサークルを持っていながら、ソニーEマウント以外に、なぜ富士フイルムのXマウントやキヤノンのEF-Mマウントを用意してラインナップしないのか、なにか「大人の事情」でもあるのかと、それとなくシグマに聞いてみたのだが、「いいえ、ただ単にマンパワーが不足しているからです。やってやれないことはないと思うんですが、ウチの会社はそんなにたくさんの技術者がいるわけでないですから」と。ホントかな……。