手ぶれ補正内蔵にこだわるタムロン

タムロン・SP 85mmF1.8 VC+ニコン・D810

 シャープネスはやや控えめで柔らかな描写特性をもったレンズである。
 だから、実質的な解像力は充分にあるのだが、いっけんする解像感に乏しい印象を受けるかもしれない。最近の「はやり」とも言えるカリッとして解像感バリバリのレンズではない。上品な描写だ。おとなのレンズ。
 ぼけ味は、トゲトゲしさはなくふんわりとしている。ただ、口径食が目立つのが(しいて言えば)欠点か。




 誤解されると困るのだが、たとえばの話ですよ、シグマやツアイスのレンズはカリカリッとした鮮鋭感と解像感があって、いかにも多くの写真愛好家が喜びそうな描写、そんな傾向が強い。それに対して、SPシリーズのタムロンレンズはとくにそうなのだが、カリカリ描写を避けて緩やかな諧調描写を重視したレンズ設計を狙っているようなところがある。
 すでに発売されているSP45mmF1.8 VCも、SP35mmF1.8 VCも、そうした傾向があるような印象で、タムロンが「独自色」を打ち出そうとしているような気もする。

 もう1つのタムロンの独自色は手ぶれ補正内蔵である。手ぶれ補正内蔵レンズに"こだわりまくっている"ような感じもしないでもない。

 とくに大口径レンズの場合、手ぶれ補正の機構をレンズに内蔵しないほうが、(一般的にだが)優れた描写性能の、より小型軽量なレンズを作ることができる。それを承知の上で、敢えてタムロンは手ぶれ補正内蔵と優れた描写性能を両立させる企画をたてて、大変に苦労をしたようだ。
 描写性能と手ぶれ補正は狙い通りだったようだが、大きさと重さ、最短距離、そして価格については、やや当初のもくろみ通りにはいかなかったような……。最短だけでも、もう少しがんばってほしかった。

 手ぶれ補正の機構(VC)を内蔵した、一眼レフカメラ用の、焦点距離85mmの、F1.8クラスの大口径中望遠レンズではこのタムロンのものが唯一である。タムロンの技術者たちの、そのチャレンジ精神を高く評価してもいいだろう。