ポートレート専用レンズだ! と断定するタムロン

タムロン・SP 85mmF1.8 VC+ニコン・D810

 タムロンはこのSP85mmを「純粋ポートレートレンズ」であるとか、「人を撮るために誕生した」レンズであると、さかんにアピールしている。まるで人物撮影の専用レンズであるかのような断定的表現が目立つ。カタログやホームページを見ても、女性ポートレートの写真ばかりだ。若い女性の人物写真だけで、子どもや男性のポートレートもまったくないのもヘンだ。

 まるで、タムロンSP85mmレンズが人物専用、それも女性ポートレート専用のレンズであるかのようで、女性以外の撮影には不向きなレンズなのか、と意地悪く突っこみたくなるほどだ。あまりにも断定的、一方的すぎる。




 SP85mmはポートレート撮影に適したレンズなのだと、それほどまでにタムロンがいうのであれば、「なぜ、SP85mmがポートレートに最適なのか」、その解説(理屈)が述べてあってもいいはずだ。ところが、それがどこにも見あたらない ━━ ぼくの見落としかもしれないけど。

 このSP85mmレンズのタムロンのプロモーションのやり方を見ていると、女性ポートレートを撮影しないユーザーたちを完全シャットアウトしているかのようじゃないか。SP85mmレンズの魅力をみずから削いでいるみたい。
 花や自然風景や、街角のスナップや身の回りのお気に入りを撮影するようなレンズではない、と言われているような ━━ と、感じるような単純な人はいないとは思うが。

 焦点距離や画角にまつわる古くからの概念にとらわれることなく、撮影シーンや被写体を限定せずに自由自在、ユーザーの好き放題にレンズを使いこなせばいいと思う。

 せっかくの、大口径中望遠レンズに手ぶれ補正を苦労して内蔵させたレンズではないか、人物撮影以外にも適したシーンや被写体があるはずだ。このレンズを企画した人も、設計を担当した人や製造にかかわった人たちも、SP85mmは人物限定ではなく多くのユーザーにいろんなシーンを撮影してレンズを愉しんでもらおうと思っていたはずだ。
 タムロンのプロモーション担当の人たちは、そのへんをよく感じ取ってSP85mmをアピールすべきだったのでは…。

 というわけで、タムロンSP85mmはけっしてポートレート撮影専用のレンズというわけではなく、森羅万象どんな被写体やシーンに対しても使えるオールマイティなレンズだと、ぼくは使ってみて、つくづくそう思いました。手ぶれ補正もいろんなシーンで有効活用できたし。

 レンズにかかわらずカメラもそうだけど、メーカーはできるだけ使い道の門戸を広げるようにしておくべきですね。ハナっから使用目的を限定してはいかんのじゃないか、と思うわけですよ。