ニコンマウントレンズで初の電磁式絞り機構

タムロン・SP 85mmF1.8 VC+ニコン・D750

 タムロン製のニコンマウントレンズとしては、このSP85mmで初めて電磁式絞り機構を採用した。ニコンはずっと長い間、機械式絞り機構を続けていたが(キヤノンEFレンズは当初から電磁絞り)、数年前から"こっそりと" ━━ どうもそんな感じなのだ ━━ 一部の新型レンズに電磁絞りを組み込むようになった。レンズ名に「E」の略記号があるレンズがそれ。
 少しづつ「E」レンズが増えてきて、ようやくタムロンもそれにならったというわけだ。




 タムロンもシグマもそうだが、いくつかのマウントに対応した交換レンズを作るとき、いちばん"足を引っ張っていた"のがニコンマウントだったという。始めの頃は、絞りリングの作動メカニズムと絞り羽根の駆動のメカニズムがニコンマウントレンズには必要だった。キヤノンマウントに比べれば部品点数も多く、調整もたいへん。それがいつの間にか、まず絞りリングがなくなった。でも最後まで残っていたのが機械式絞り機構だった。
 交換レンズのメーカーとしては、対応カメラボディが異なってもできるだけ共通部品を使って製造したい。

 そういうわけで、キヤノンマウントよりもニコンのレンズのほうが手間取ってしまう。だからタムロンもシグマも、まず始めにキヤノンマウントを発売して、しばらく経ってからニコンマウント、というのがお定まりのスタイルだった(タムロンはそれはイカンということで2年ほど前から社長命令で「キヤノン/ニコン同時発売」をめざすようになった)。
 電磁絞り機構を採用してもよくなって、いちばん喜んだのは(たぶん)タムロンの鏡枠設計の技術者だったのではないか。

 ニコンは、機械式絞りの方式にずっとかたくなだったし、その機構をイバッテもいた。
 「キヤノンの電磁絞りはね、高速連写したときに絞り込めばだんだんと連写速度が落ちてくるんです、高速連写について行けない。でもニコンの機械式絞りはね、秒間10コマといえば、開放絞りでも最小絞りでもきちんと10コマで撮れます、電磁式とはソコが違うんです。」ニコンの幾人かから(だれ、とは言いませんが…)何度もそうした話を聞いた(言い方は、多少誇張ぎみではありますが…)。

 でも、とくに望遠レンズでは機械式絞りの機構を使って高速で正確に絞りを設定するには(やってやれないことはなかっただろうけど)、絞りを開閉させるために長いガイドピン(蹴りピン)が必要だったりして、そろそろ限界だったのではないか。アクチュエーターを含めた電磁式絞り機構の進化もあったに違いない。
 つまり、いままではキヤノンマウントのレンズは電磁式絞り、ニコンマウントのほうは機械式絞り、という「異なった仕様」でタムロンはレンズ作りをしなくてもよくなったよ、というのが本日の話。