平行ぶれ補正の効果を"実感"する難しさ

タムロン・SP 90mmF2.8 Di MACRO 1:1 VC USD+ニコン・D750

 少し間があいたが、前回のタムロンSP90mmマクロレンズの続き。
 前回の繰り返しになるが、タムロンは現在3本のSP90mmマクロレンズを"同時並行販売"している。同じ焦点距離で、同じF値で、同じくAF対応のマクロレンズを3本、同時発売してるメーカーなんて(たぶん)タムロン以外にはないはず。マクロレンズのタムロンの、その面目躍如。
 これが現行販売中の3本のSP90mmF2.8マクロレンズだ。左端が角度ぶれと平行ぶれ対応の新型90mm、真ん中が新型とまったく同じ光学系で角度ぶれ対応の旧型90mm、右端が手ぶれ補正なしの旧旧型90mm。




 新型SP90mmのレンズ構成は11群14枚で、旧型SP90mmも同じ。ただし全長と重量がほんのわずか異なる(全長で0.1mm重さで50g新型が大きい)。この重さの違いは、新型に搭載された平行ぶれ補正の機構のためだろう。

 旧型SP90mm(F004)は角度ぶれ補正だけに対応したVC機構が内蔵されていたが、新型SP90mm(F017)では角度ぶれ補正に加えて平行ぶれ補正にも対応する新VC機構を採用している。手ぶれ補正の補正段数も旧型が3段ぶん相当だったのが、新型では3.5段ぶん相当と性能向上している。いずれもCIPA準拠。

 なお、誤解があるといけないので注釈をすると、このCIPA準拠の手ぶれの補正段数は角度ぶれに対してだけである。CIPAの約束事としてそうなっている。
 平行ぶれ補正や回転ぶれ補正の機能を備えた手ぶれ補正システムでも、だから、角度ぶれだけに限定して補正効果を公表している。このタムロンの新SP90mmも、平行ぶれ補正は無視して角度ぶれだけが3.5段ぶんの補正効果があるということだ。

 平行ぶれは(並進ぶれ、シフトぶれ、などとも言うが)、通常の撮影距離ではほとんど影響を受けることはないのだが、至近距離の撮影になるほどわずかな上下左右方向のぶれが画質に影響してくる。それを防ぐ(補正する)というのが平行ぶれ補正の機構である。とくにクローズアップ撮影することの多いマクロレンズにはとても効果がある。

 角度ぶれ補正のためには、ぶれ検知のためにX軸Y軸2個の角速度センサーを使用する。平行ぶれ補正のためには加速度センサーを3個使用しなくてはならない。X軸Y軸、そして重力を検知するための合計3個だ。
 平行ぶれ補正は角度ぶれ補正に比べて難易度はかなり高いと言われている。理由はいくつかあるが、まず角速度センサーに比べて加速度センサーは反応が鈍い(といわれている)。X軸Y軸重力の3つの方向を検知して複雑な計算を瞬時におこなわなくてはならないからだ。

 そんな苦労をして平行ぶれ補正の機能を加えたとしても、角度ぶれ補正に比べてユーザーが平行ぶれ補正の効果をなかなか「実感」できない ━━ マクロ撮影時にはっきりと効果はあるのだが効果が薄くわかりにくい ━━ といういささか厄介なモンダイもある。