PENTAXの古いソフトフォーカスレンズについて(その1)

リコー・PENTAX K-1+smc PENTAX-F SOFT 85mmF2.8

 20数年前、フィルムカメラ全盛の時代に発売されたソフトフォーカスレンズだ。オートフォーカスに対応してはいるが、相当の特殊レンズだ。
 とくに、これから紹介するPENTAXのソフトフォーカスレンズは、K-1などKシリーズのデジタルカメラで使いこなすのはかなり厄介である。専用ソフトフォーカスレンズの描写はじつに素晴らしく魅力的である。

 とくに、PENTAXのソフトフォーカスレンズはぼけ具合がキレイでやわらかく、他メーカーのソフトレンズとはひと味もふた味も違う。ただし、満足に使いこなすにはそれなりの覚悟と忍耐とテクニックが必要。
 使いこなしのことを考えると、はっきり言って「おすすめ」はできない。

 もし、「苦労も厭わない」というのであれば、のちほど使いこなしのコツと注意点を述べるつもりなのでそれを参考にするといい。いや、それよりも古いレンズだし、生産数も少ないレンズだったから、いま手に入るかどうか。




 ソフトフォーカスとは「軟焦点」とも言う。「柔焦点」ではない。「軟」は「硬」の対語として使われている(ようだ)。
 撮影した写真はクリアーで解像感のあるシャープな描写にはならず、画面全体にフレアがかかったようになる。しかし、ピントを合わせた部分には"芯"があってその周囲がふんわりと光が滲んだようにした独特の描写だ。

 フィルター(専用フィルターもあるし、薄い紗布を使うこともある)を使ったり、デジタル画像処理を施したり、多重露出撮影でも似たようなソフトフォーカス描写の写真を得ることもできなくもない。だが、それは「ニセモノ」のソフトフォーカス描写だ。
 そんな擬似的(エセ)ソフトフォーカスは、専用ソフトフォーカスレンズの描写とはぜんぜん違う。その「違い」がわからない、いや、そもそも専用ソフトフォーカスレンズで撮影された写真を見たこともない、そんな人が多いのではないだろうか。

 ソフトフォーカスレンズは球面収差を利用してフレアをわざと残し、そのため光が滲んだような軟焦点描写にしている。モノクロフィルム時代には球面収差のほか色収差も利用していたがカラーフィルム時代になってそれはなくなった。
 球面収差を強く残しているから、とくに一眼レフカメラを使ってマニュアルフォーカスで撮影しようとすると正確にピントを合わせることが難しい。誤解している人も多いのだが、ソフトフォーカスレンズを使った撮影では正確なピント合わせがきわめて大切である。正確にピントが合うことがソフトフォーカス描写の必須条件。
 MF時代のソフトフォーカスレンズはそれが大きな障壁になっていたのだが、しかしAFに対応するようになって「ウソ」のよう使いやすくなった(ピント合わせだけ、だが)。