PENTAXの古いソフトフォーカスレンズについて(その2)

リコー・PENTAX K-1+smc PENTAX-F SOFT 85mmF2.8

 一眼レフカメラとソフトフォーカスレンズを使ってファインダーを覗きながらピント合わせするのは大変に難しかった。強い球面収差のせいで、正確にピントを合わせて写したつもりでも、実際にできあがった写真をみるとわずかに「後ピン」になっていることが多い。

 そのため、ファインダーでピントを合わせたら、撮影するときにわずかに「前ピン補正」をしてやらなければならない。ソフトフォーカスレンズをマニュアルフォーカスで使うとき、この微妙なピント補正がじつに難しかった。
 それがAFレンズになって、劇的にソフトフォーカスレンズが使いやすくなった。自動的に後ピン補正をカメラとレンズがやってくれるようになったからだ。

 だから、AF機能を備えたソフトフォーカスレンズを使って、わざわざMFでピントを合わせして撮影するというのは愚の骨頂、といえなくもない。




 ソフトフォーカスレンズがAFに対応してくれるようになったとはいえ、使いこなしの難しさは基本的にはムカシと変わらない。難しいのはソフト量の強弱の加減である。
 ソフト量の強弱は、PENTAXのソフトレンズでは絞り値と連動している。開放F2.8のときがもっともソフト量が強く、絞り込むほどに弱くなる。しかしF8以上に絞り込むと球面収差がなくなり、通常レンズと同じようにシャープな描写になる。

 キヤノンや旧ミノルタにもAF対応のソフトフォーカスレンズがあったが、それらは絞り値とボケ量を別々に設定する方式。PENTAXはMFレンズの時代から絞り値とボケ量がリンクする方式である ━━ どちらの方式がイイかは話がクドくなるので省略するが、ぼくはPENTAX方式のほうが使いやすいし好きだ。ところで、ニコンとオリンパスのソフトフォーカスレンズをいままで1本も見たことがない。発売されたことがあるのかな。

 ソフトフォーカスレンズを使い始めた人は、めったやたらにソフトを強くかけ過ぎてしまうようだ。趣味の問題もあるので一概に否定はできないが、ソフト量はほどほどにとどめておくのがいい。そのほうが上品。
 ソフト量の強弱調整の「基本」は、
 (1)写真を大きく見せるときは弱めに、小さな写真では強めに
 (2)被写体が細かなものは弱く、大柄なものは強めに
 (3)ハイコントラストなシーンは弱めに、フラットなシーンは強めに
 (4) 遠景は弱めに、クローズアップは強めに
 ただし、これはあくまで一般基本論。写真には「こうしなければならない」なんてものは、ひとつもない。写真表現はほんらい自由自在、唯我独尊であるべきだ。

 PENTAX ソフト85mmレンズの場合だが、ぼくはF4~5.6の間で使うことが多い。F4より絞り値を開けて(ソフト量を強くして)撮ることはめったにない。同じようにF5.6以上に絞り込むこともあまりない。
 ソフトの強弱加減に迷ったときは、ソフト量を変えて数カット撮っておくのがいいだろう。そうすれば、写真を大きくプリントするときはソフト量弱めのカットを、小さな写真にするときはソフト量強めのカットを選べばいいということになるわけだ。