無限から最大倍率1.2倍までAF

キヤノン・EOS M10+EF-M 28mmF3.5 マクロ IS STM

 一般向けのマクロレンズ(ヘンな言い方だが)で「等倍」以上の倍率で撮影できるものが、いままで出てこなかったのはどうしてだろうか。せいぜい等倍までで、この「等倍」になにか特別な価値でもあるのだろうか。

 そもそも、デジタルカメラでは「等倍」の意味そのものがじつに曖昧。フィルムカメラならいざしらず ━━ フィルムカメラの「等倍」とは使用するフィルム画面上に実物と同じサイズで写ることをいう ━━ だからデジタルカメラでは撮像センサーの画面にどれくらいのサイズで写ろうと実質上の撮影倍率とはほとんど関係がない。
 ここでいうところの「等倍=1倍」は35mm判サイズの画面上での意味であって、EOS MはAPS-Cサイズだからその画面で言えば「等倍=1.5倍」と言うことになる。似たようなこととしてファインダー倍率もそうだ。

 であるからして、デジタルカメラで「等倍」なんて言われても「ナニそれ?」ってなもんだ。……いや、わかってるんですよ、もちろん。「等倍」と表現してる理由はわかって、言ってるんですよ、と、念のため言っておく。




 それはさておき、特殊なマクロレンズでは等倍以上に拡大して撮影できるレンズもあったが(キヤノンにはMP-E65mmF2.8が現行品があり、ミノルタにもAFレンズがあった)、しかしそうしたレンズはマクロ撮影専用で無限遠の撮影ができなかった。
 いままでに、無限遠から「等倍以上」に自由自在にピントを合わせて撮影ができるレンズなど1本もなかったはず(たぶん…自信がない)。むろんエクステンションチューブなどを使えば「等倍以上」を撮影することは不可能ではないが。

 だから、無限遠から「等倍以上」の撮影が1本のレンズだけでできる「EF-M 28mmF3.5 マクロ IS STM」レンズは ━━ 「等倍」以上で撮影するには途中で切り替え操作が必要ではあるが ━━ これは画期的マクロレンズだと言っていいだろう。
 おそらく「AF世界初」ではないだろうか。しかしキヤノンは世界初と言っていない…。

 「二段沈胴式」のマクロレンズである。
 まず一段目の沈胴を繰り出して通常撮影状態にする。沈胴式にせずとも、もともと小型なマクロレンズなのだから"そのまま"通常撮影ができるようにしておけばいいと思うのだが、なにか理由があったのだろう。
 一段目の沈胴を繰り出すとレンズ先端部が少し飛び出す。この状態で無限遠から「等倍」までAF撮影ができる。「等倍」のときの最短撮影距離は撮像面から9.7cm。
 一段目を繰り出した状態からさらにもう一段レンズを回転させるとスーパーマクロ撮影モードに切り替わる。スーパーマクロモードでは0.7倍から1.2倍までの範囲でマクロ撮影ができる。もちろんAFで。でも、なぜキヤノンはこの28mmマクロレンズで無限遠から切り替え操作なしにそのまま「1.2倍」までクローズアップ撮影できるようにしなかったのだろうか。理由が不明。

 スーパーマクロモードでの最短撮影距離は、0.7倍のときが11cm、等倍のとき9.7cm、1.2倍のとき9.3cmになる。レンズ先端部からの距離(ワーキングディスタンス)はかなり近くなる。ピントを合わせようとする被写体にくっつかんばかりの近接となる。
 そう、そこで役立つのがレンズ先端部に内蔵のLEDランプ、というわけだ。