もし迷ってるなら買ってしまったほうがいいぞ、のレンズ

オリンパス・M.ZUIKO DIGITAL ED 30mmF3.5 Macro+OM-D E-M1 Mark2

 オリンパス30mmF3.5マクロは等倍を越える1.25倍の拡大撮影ができる珍しいマクロレンズ。現在のところ、無限遠から等倍を越える至近距離までピントの合わせられるAFレンズとしては、たぶん、この30mmF3.5マクロとキヤノンのEF-M 28mmF3.5 マクロ IS STMの2本だけだろう。そのことは前回のブログでも述べた。
 なぜ、等倍以上のクローズアップ撮影ができるマクロレンズがいままで出てこなかったのだろうか。理由のひとつは、「等倍撮影もできれば充分ではないか」という企画、設計側の"常識"があったのかもしれない。

 等倍以上の撮影にチャレンジしなかったもうひとつの理由は、フォーカス方式が全群(または前群)繰り出しのレンズでは、等倍を挟んでピントの合う点が2つ出てくるという現象があって(多合焦現象)、AFだと誤合焦してしまうからだということもあった ━━ 多合焦現象についてはぼくは説明できるほど詳しくないので、興味のある人はご自分で調べてください。




 その多合焦現象はインナーフォーカス(またはリアフォーカス)方式のレンズでは発生しないらしい。マクロレンズは前群(全群)方式が多かったのだが、ある時期からインナーフォーカス方式が主流となった。その大きな利点はフォーカスしてもレンズ全長が変化しないことで、これによりマクロ撮影での操作性がかなり向上した。併せて多合焦現象を気にしなくてもよくなった。

 「等倍で充分の常識」と「AFと多合焦現象」のふたつが、等倍以上のクローズアップが可能なマクロレンズが生まれてこなかった原因のようだが、文句なしに前者の「等倍常識」の壁が大きかったに違いない。

 カメラやレンズには、こうした古くからの「常識」にどっぷりと浸かって企画や開発、設計をおこなっているようなところが多くある。デジタルカメラがどんどん進化していくこれからは、カメラやレンズを取り巻く古びた「常識」を打ち壊していかないと、たとえばスマホや携帯内蔵のカメラに太刀打ちできないのではないだろうか。
 そういう意味でも、オリンパスの30mmマクロもキヤノンの28mmマクロも、いままでのマクロレンズの「常識」の殻を破ったという点で注目すべき製品である。

 オリンパス30mmもキヤノン28mmもそうだが、おもなユーザーターゲットを写真撮影の入門者や女性などに絞って企画されたレンズであることにも注目したい。誰でもが気軽に、身の回りにあるあれこれを自由自在にクローズアップして撮影できる手軽なレンズを作って売り出したことがいい。

 ただし、このオリンパス30mmレンズでは、思い切って小型軽量低価格にしたことで犠牲になったこともなくもない。たいしたことではないと思うが、限定した特定条件でフレア/ゴーストが目立つことがある。逆光撮影のときにちょっと気をつければいい。
 そのほかに、ちょっと気になったことは(性能でも操作性でもなく)レンズの外観デザイン。PENシリーズのカメラやE-M10などの小型ボディのカメラとの組み合わせるととてもいい感じなのだけど、たとえばE-M1 Mark2のような少し大きくてメカっぽいカメラボディにセットすると、はてな、どうしてなんだろうか、どこかアンバランスでさっぱり似合わないのだ(個人的感想……)。