いかにもシグマらしい描写最優先型レンズ

シグマ・135mm F1.8 DG HSM/Art+キヤノン・EOS 5Ds

この135mmF1.8レンズ、とくにF1.8開放絞り値で撮影するときはけっしてナメちゃいかんです。どこにピントを合わせるかをしっかりと決めてから、そこに正確にピントを合わせて撮ることが絶対条件。




 シグマのフルサイズ判対応の135mmF1.8 Artレンズである。
 F1.8という大口径もあって、大きい、重い、使いづらい。が、ソンなこと言われたっていまのシグマは気にしない。重くても大きくても描写が良ければそれでイイ。そこのけっそこのけっ、シグマが通る……ってな感じのする堂々たるレンズ。

 とても良く写るレンズだ。描写は文句なし。
 評価の高い同じシグマのArt 85mmF1.4レンズに匹敵するほどの描写性能である。その85mmF1.4と外観を比べると、135mmF1.8のほうが焦点距離が長いにもかかわらず全長は約1センチほど短い。レンズ重量はどちらのレンズも1130グラムと同じ。実販価格は現在のところ135mmF1.8のほうが少し高い。
 両レンズを並べて写した画像がある。以前、twitterで紹介したので興味のあるかたはこちらをどうぞ

 F1.8開放絞りで撮影しても充分な描写性能がある。F1.8開放絞り値でも画面周辺部までまったく不満のない描写。最近のシグマレンズ特有のカリッとしてパリッとした「サルでも目を見張る描写」だ。
 ただ問題は、ピントの浅さ、ぼけの大きさ。そもそも135mm望遠レンズでF1.8の大口径ともなると、ピントの合う範囲は極端に狭くなる。近距離の被写体にピント合わせするとなれば、やや大袈裟だが「薄紙1枚」程度の被写界深度しかない。使いこなしのうえでここはよく認識しておくことだ。

 だから、ピントを合わせてシャッターを切る直前に、ほんのわずかカラダが前後してしまっただけで正確なピントは得られない。こういっちゃナンだけどヘボなAF性能のカメラで使えば135mmF1.8レンズの実力を発揮することはできない。カメラを選ぶレンズ。
 近距離撮影になればなるほどピント合わせはさらに厳しくなる。

 つまり、そうした「ごくごくわずかなピンぼけ」を避けるためにもF1.8の開放絞り値で撮影することはできるだけ避けて、F2からF2.8ぐらいにとどめておくのがベターではないか、と思う。
 もし、それでもF1.8で撮影したいというのであれば、三脚を使うなどして(AF/MFにかかわらず)カメラを確実に固定させて撮影するのがいいでしょう。

 ぼくの実感として、85mmF1.4の開放絞りで至近撮影するよりも、135mmレンズを使って同じ至近でF1.8開放絞り撮影するほうが、だいぶ難しい感じがした。135mmでのピントの失敗写真も多かった(恥ずかしい…)。
 とはいえ、この135mmレンズは少し絞り込んで撮影すれば、85mmよりも135mmのほうが「中望遠レンズ」らしくて、ぼくは好きでした(くどいですが、重さ大きささえがまんすれば)。