Rebel とはオレのことかとKiss 言い

キヤノン・EOS Kiss X9i+EF-S 35mmF2.8 MACRO IS STM

 どこからどこまでも「真っ黒」なロールスロイス。目立たないための黒ではなく、目立つための黒。カルチェ・ブレッソンだったかロバート・フランクだったか、カメラが目立たないようにブラックボディを選び、さらにヒカリもの部分を黒くした真っ黒カメラを使ってましたね。こちらは目立たないための黒。1台だけのワンオフだからできること。
 Kiss X9iも9000Dもシルバーモデルがあればいいと思うけど、そうなると生産管理や在庫管理がきっとタイヘンなんだろうなあ。




 「EOS Kiss X9i」も「EOS 9000D」も、(おもに)日本国限定の名称である。Kiss X9iはアメリカで「EOS Rebel T7i」、ヨーロッパやアジアでは「EOS 800D」と名づけられていて、9000Dのほうはアメリカ、ヨーロッパ、アジアともに「EOS 77D」という機種名で販売されている。
 「Kiss」の名前はフィルムEOSのエントリー機種として1993年に「EOS Kiss」が発売されたのがはじめ。その時から国内と海外では別名。アメリカでの名称が「EOS REBEL XS」、欧米とアジアでの名称が「EOS 500」だった。
 その後も、フィルムカメラからデジタルカメラになっても、こんにちまで日本国内に限っては「EOS Kiss」として販売され続けてきた。

 「Kiss」は小さな子どもを育てている若いお母さんとその家庭をメインターゲットとして企画された一眼レフカメラだ。だから、可愛い子どもたちに愛情を注ぐようにという気持ちを込めて「Kiss」と名づけられたようだ。
 ところが、いっぽうで、とくに中年のおじさんたちからは「Kiss=キッス」というネーミングが不人気のモトだった。照れくさい、というわけだ。

  ━━━━ 余計なことを言いますけど、初代Kissが出たときから、ぼくは、「Kiss」のネーミングは素晴らしいっ、といまでもそうですがずっとイイ名づけだと思っております。Kissを持ち歩い撮影していても、ぜーんぜーん抵抗はありませんし、恥ずかしくもなんともないです。むくつけきおじさんだけど、ぼくが「ヘン」なのかなあ ━━━━

 ところが最近になって、「Kiss」の不評がおじさんだけにとどまらず、キヤノンの予想に反して未婚の若い女性たちが振り向かなくなってきた。
 コンパクトカメラではなく、それよりも「上級」の一眼レフカメラを使って本格的に撮影を愉しもう、いままでと違った上級な作品を撮ってみよう、と考えはじめた若い女性たちが、「こどもを写すだけのお母さんたちと同じように見られるのはイヤだ、一緒にしないでよっ」とKissを避けるようになってきたらしい。

 Kissがイヤならそれより上級のEOSシリーズに行ってくれればキヤノンにとっては問題なかったのだけど、そうした女性たちはキヤノンではなく、ニコンやペンタックスに行ってしまった。4~5年前ぐらいのことだ。

 そこでキヤノンが打ち出した手法が、プラットホーム(カメラの中身)はまったく同じで、少し外観と操作系と、そうカメラ名を変えて2機種を売り出すことにした。せっかく2機種作るんだから、ついでだから海外も、というわけで機種名を変えて世界同時に2機種発売することにした。
 その第一弾が2年前、2015年発売の「EOS Kiss X8i」と「EOS 8000D」だった。
 国内ではキヤノンマーケティングが、Kiss X8iは若いお母さんに、8000Dは撮影と写真作品に意欲的な若い女性や写真でも趣味にしてみるかと一眼レフカメラに興味を示してきた男性、というふうにマトを絞って販売をはじめた。

 国内のKiss X8iと8000Dの購入者の様子をまとめた資料がここにある。男性と女性の購買比率と、購入者のライフステージが表になっている。
 それによると、Kiss X8iが「男性:66%、女性:34%、子ども小学生以下(ファミリー層)」に対して、8000Dは「男性:86%、女性:14%、未婚or子ども中学生以下」という結果がでていた。
 おおっ意外な結果だなあ、とぼくが思ったのは、Kiss X8iで男性が予想よりも多いことと(全体の2/3もある)、8000Dの購買者で若い女性が大変に少ないことだった(たった14%)。
 
 この結果がキヤノンの「予定通り」だったのかどうかわからないが、今回の新モデルKiss X9iと9000Dでも、前モデル(Kiss X8iと8000D)とほとんど同じ販売戦略を立てている。
 前回ブログで少し触れたが、キヤノンのそれぞれの機種のメイン想定ユーザーは、Kiss X8iが「子どもの成長記録を残したい一眼レフ入門者(プレママ、小学生の子どもを持つファミリー層)」、9000Dは「写真をもっと楽しみたい一眼レフ入門者(30~50代男性)」ということになっている。
 さて、キヤノンの思わく通りにいくかどうか、はどうでもイイとして、世界中で売りまくるでしょうね、この2機種ともに。