ユーザーに機能の選択をさせないカメラ?

オリンパス・OM-D E-M10 Mark III + M.ZUIKO DIGITAL ED 14~42mm F3.5~5.6 EZ

 E-M10 Mark IIが発売されたのが2015年9月。その後継機種であるE-M10 Mark IIIの発売が今年、2017年9月である。ちょうど2年ぶりのモデルチェンジということになる。
 オリンパスOM-Dシリーズには現在、「松/竹/梅」の3機種がラインナップされている。松がE-M1 Mark2、竹がE-M5 Mk2、そして梅がこのE-M10 Mk3ということになる。いわゆるエントリー向け(ファミリー向け、カメラ入門者向け)モデルになるわけだ。

 カメラのスタイリング(外観デザイン)は旧型とほぼ同じで、特長である小型軽量ストロボ内蔵ボディ、センサー画素数など多くは変わらず。




 ではナニが変わったのか、進化したのか。

  おもな改良点としては(とくにエントリーユーザーにとっての)操作性が向上したことだろうか。ほかに細かな改善点があるがいっぽうで、退化した(んじゃないかなと感じられる)ところもなくもない。
 デジタルカメラとしての基本的な性能などは新旧ほとんど同じだが、画像処理エンジンがアップしたことで高感度の画質クオリティがだいぶ向上した。これは注目していい。

 はっきり言えば、旧型E-M10 Mark IIを ━━ このカメラは大好きです、新型が出たけどぼくはいまでも ━━ 思い切ってエントリーユーザー向けに仕立て直したのが、この新型E-M10 Mark IIIではないか。

 もともと良い機能を持っているのに、「初心者に使いこなせないだろう」とか「初心者が戸惑うのではないか」と、オリンパスが余計な!気遣いをして、奥のほうに隠してしまって必要なときにすぐに活用できないという機能もある。

 カメラ操作や機能のイロハがまだよく理解できていない初心者にレンズ交換式デジタルカメラを気軽に手軽に使ってもらおう、というオリンパスの狙いは良くわかる。しかしカメラ初心者もすぐにベテランになる。「プロカメラマン」にもなれる。いまのデジタルカメラはそれほど進化している。
 少しずつカメラ操作に慣れてきて撮影機能の理解も進んできたとき、そうしたユーザーはオリンパスの(余計な)親心をいったいどう思うだろうか。

 たとえばだけど、静音シャッターモード ━━ つまり電子シャッターのモードで最高1/16000秒の高速シャッタースピードが選べる、明るいシーンでも明るいF値のまま撮影ができるという大きなメリットがある ━━ これが旧型E-M10 Mark IIでは容易に、いつでも選択し設定ができた。ところが新型E-M10 Mark IIIでは、新しく作った初心者向けカンタン撮影モードの中に隠し込んでしまった。
 せっかく搭載している電子シャッター撮影の機能が、P/A/S/Mの基本撮影モードでは選べなくしてしまった。

 新型E-M10 Mark IIIはエントリーユーザーにはとても「優しい」カメラに仕立てられているけれど ━━ それがはたして正解なのかどうか ━━ そうじゃないユーザーには門戸を閉じてしまっている。
 松/竹/梅の「梅」のポジションを明確にするために初心者ユーザー向けに大胆な変更が加えられたのだろうけれど、でも、使ってみると「触れるなイジるなっ、余計なことするなっ」と言われているような、そんな気持ちもしないでもない。
 門戸開放型自由主義的だったE-M10 Mark IIのことをぼくはよく知っているだけにちょっと残念。