PENTAXの新型★50mmF1.4レンズ ━━ その3

リコー・HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW + PENTAX K-1

 いきなりだけど、余計な話から。
 デジタルカメラが成熟期に入って(いまがそうだろう)、カメラやレンズの性能はフィルムカメラ時代とは比較にならないほど「進化」した ━━ 断っておくが進化したのは解像描写力などの数値で判別できる要素であって、アナログ的な描写性能については「進化した」とは言い切れないように思う ━━ 。

 そんなデジタルカメラと交換レンズを使って解像力や収差などをチェックするときは確実なピント合わせが必須。ぶらさないで撮ることも絶対条件。

 ところが正確で確実なピント合わせが求められるとき、全幅の信頼をおいてAFでの撮影はできない。AF性能は、だいぶ性能向上したと言えども、まだフィルム時代の基準を引きずっているところもあり、ごくごくわずかな偽合焦(ピンぼけ)してしまうこともある。
 とくに高解像力を誇るデジタルカメラと交換レンズとの組み合わせではわずかなピンぼけ(または微ぶれ)をしてしまってはその実力を評価することは決してできない。これは位相差AFの一眼レフカメラだけでなく像面AFのミラーレスカメラでも同じこと。

 というわけで、PENTAX★50mmF1.4レンズとK-1を使っての解像力などのチェック撮影では、めんどうだけど「ライブビュー+MF+拡大表示+ピーキング表示(+三脚使用)」でおこなった。




 室内でコントラストチャート(の、ようなもの)を撮ったり、実際に可能な限り条件を変えてフィールドであれこれ撮影してみた。そうして得た個人的な印象が以下の通り。
 評価にやや偏りがあるかもしれないことは納得しておいて欲しい・・・というほど大袈裟なもんじゃないですけど。

 解像描写力は大変に優れている。
 ハイコントラストに頼った"ウソっぽい"見かけ上の高解像力ではなく、少し柔らかめな描写だがしっかりとした「芯」のある"ホンモノの"高解像力である。
 近接撮影でも描写性能が損なわれることなく中距離、遠距離と同様に秀逸。近距離で目立ちやすい収差をよく抑え込んでいる。遠距離から近距離まで平均して優れた描写性能を保っているというのはこの★50mmF1.4の注目すべきポイントといえるだろう。

 F1.4開放絞り値でも、球面収差が少ないことはもちろん、コマ収差も通常シーンではほとんど目立たない(遠景の点光源などを見れば画面周辺部でわずかに目立つが少し絞り込めば気にならなくなる)。
 周辺部の解像力もコントラストも、開放F1.4絞り値でも画面中央部の写りと比べてもほとんど遜色はない。画面全域で高い解像描写力がある。

 強いて"欠点らしきもの"を述べるとすれば、撮影シーンによっては開放絞り値付近で軸上色収差(フリンジ)が目立つことがあることぐらいか。高い解像描写力を誇る大口径レンズではそうした軸上色収差は宿命みたいなもの。
 なお、PENTAXの一部カメラではカメラ内RAW現像のメニューに「フリンジ補正」という優れた機能があるのでそれを利用すれば、輪郭状に発生するピンクやグリーンの軸上色収差はきれいに消すことができる。ぜひ憶えておかれるといいだろう。

 平坦な被写体を撮っても中心部から周辺部まで均一でシャープなピントが得られる。このことからも像面湾曲収差も大変に少ないことがわかる。
 歪曲収差の少なさにも驚いた。こちらはK-1内蔵のディストーション補正機能など必要ないほどである。

 少しの期間、試し撮りしてみただけで「これは素晴らしいデキのレンズではないか」と大いに感心させられた。開放絞り値からなんの気兼ねもせずにどしどし撮影ができそうな、わくわくするようなレンズだった。
 ベータ版のレンズで、ここまで高い描写力があった。これから本格的に調整が進めば製品版レンズではもっと優れた写りになるだろうと期待が持てる。

 


 レンズ後端部を見てみるとレンズ本体にマウント金属を固定しているネジ止めが、なんと7カ所もある。通常、PENTAXレンズのマウント固定は5本ネジ。それが2カ所も多い。
 「ほんのわずかなガタツキが出てもピントに影響します。それだけピントには大変にシビアなレンズです。それと、手荒く扱っても少しのガタもこないように、このレンズのマウント固定には徹底しました」と、レンズの開発メンバー。
 この話を聞いて、ふーんっ、といたく感心してしまった。