PENTAXの新型★50mmF1.4レンズ ━━ その4(終)

リコー・HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW + PENTAX K-1 Limited Silve

 逆光に強いレンズだ。ゴーストを出してみようとイジの悪いシーンをいくつも撮ってみたが「期待するほど」のゴーストが出てこない。まったく出ないというわけではないが、出てもほんの小さく薄いもの。
 この★50mmF1.4に限らず最近のPENTAXのレンズはズームであっても、ほんとゴーストが出にくくなった。ゴーストやフレアを防止するためにレンズフードの必要もないのではないかとさえ思うほどだ。

 ぼけ味はナチュラルで上品。図々しくなく、柔らかなぼけでぼくは好き。
 ピントが合ってシャープなところから大きくぼける部分まで、なだらかに自然にぼけていく。いわゆる、つながりの良いぼけである。このような良好な(個人的な好み)ぼけと、高解像力を両立するのは球面収差の残し具合が難しく、ペンタックスよくがんばりました、と思う。

 ところで、ぼけ味というのは ━━ オリンパスのF1.2レンズの紹介のときにも述べたことだけど ━━ 好き嫌いで評価が大きく分かれるところがある。くっきり、はっきりして自己主張の強いぼけ味のほうが好き、という人もいる。それはそれでアリです。
 レンズ描写がどうのこうのと理屈を言ったところで、煎じ詰めれば「好き嫌い=良し悪し」になってしまうところもなくもない・・・。




 それはソレとして、いま多くのメーカーはナチュラルで上品なぼけ、つながりの良い自然なぼけが得られるようにレンズ設計をする傾向が強くなってきている。
 いままで作られてきた数多くの「名レンズ」の描写性能(解像力やコントラストやぼけ味などなど)をデーター化し、定量化して、それを新しいレンズ設計に生かすという手法を採用しているメーカーもいくつか出てきている。
 たとえばニコンは「OPTIA」、オリンパスは「収差測定器」などの最新鋭検査器を使って、いままで曖昧で掴み所のなかった"レンズの味"を定量化してそれを設計や生産に結びつけるようにしている(キヤノンは公開していないが同じようなモノを使っていると思う)。

 ところがPENTAXはというと、こう言っちゃナンだけれど、昔ながらのオーソドックスなレンズ設計と生産を続けていて(続けざるを得ない諸般の事情もあるのだが)、ナンだかとっても人間的な、情緒的な"味"のあるレンズを作っているような気もする。
 誤解を恐れずにたとえるなら、ニコンやオリンパス、キヤノンのレンズが『 最新型の優れた検査機器を活用した安定量産型の高性能レンズ 』だとすれば、PENTAXのレンズは『 頑固な職人気質の少人数技術者たちが家内生産的に作っている優れたレンズ 』のような気がしないでもない。

 そんな、やや気まぐれだけど人肌のぬくもりが感じられる(これ個人的感想)レンズやカメラを作っているのがPENTAXのもひとつの魅力 ━━ 蓼食う虫も好き好きだ、と言われそうだが。
 とはいうもののPENTAXは、もちろん従来のレベルのレンズを作り続けてればイイなんて考えておらず、時代(カメラの性能向上化)に合わせて安定して高性能なレンズ生産に向かおうとしているようだ。

 その証拠に、リコーは「新世代のスター(★)レンズをめざして」あらためて★レンズの規格基準値を見直して、基準値を従来からぐんと厳しくしたそうだ。
 新しい★規格のレベルに沿ってレンズの設計や製造をおこない、その第一弾が★50mmF1.4レンズだというわけだ(それ以前に、じつは★70~200mmF2.8レンズでも少しづつ始めていたようだが)。

 新★レンズの基準値がより厳格になったからといって、PENTAXレンズの「味」が失われることはないと思う ━━ PENTAXレンズは、見かけ上の解像感を狙ってコントラストやシャープネスを強くするレンズ設計をするのではなく、素材重視と言えばいいか、階調再現性や抑えめなコントラストに重点を置いて愚直なレンズ設計スタイルを守り続けているようだ ━━ だから新★レンズ規格が採用され高性能化しても、以前からのPENTAXのレンズらしい描写の味がなくなることはないだろうと、ベーター版レンズではあるが新型★50mmF1.4を使ってそんな感じを受けた。




 ★レンズの規格値の見直しは、つい先日、開発発表された「HD PENTAX DA★11~18mmF2.8(仮称)」ズームレンズにも適用されているそうです。
 こちらのズーム、DAレンズにしては(ぼくの印象だけど)大きい。PENTAXは小型軽量とは"縁を切り"、描写性能のためには大きくても重くてもいいじゃないか、と方向転換したかのようです(ぼくの勝手な思い込みかもしれないけど)。