描写性能バツグンだが不思議なレンズ

トキナー・FiRIN 20mmF2 FE AF + ソニー・α7 III

 ソニーEマウントのトキナーレンズである。フルサイズ判対応のFEレンズで「FiRIN」はそのソニーEマウントレンズのブランド名。
 いわゆるレンズメーカー製交換レンズのAFレンズとしては、シグマ、タムロンよりも発売は早い(韓国のSAMYANG製レンズでは数本、すでに発売されているけれど)。
 
 このFiRIN20mmレンズはいささか"奇妙"なところがあって、つまり、まったく同じレンズ構成(11群13枚構成)で、MFレンズとAFレンズの2本が発売されているということ。
 下の写真はどちらもトキナー・FiRIN 20mmF2で、左がMF、右がAFである。発売時期は約1年ほどMFが早い。AFレンズは先月、4月に発売になったばかり。




 使ったのはAFのFiRIN 20mmのほう。なお、MFは使ってないので、その描写性能や使い勝手については不明である。

 さて、かんじんなことを後回しせずに言っておく。そのAF20mmの描写であるが「素晴らしい」もんだ。F2開放絞り値からじつにシャープでクリアー。切れ味ばつぐんの写り、とでもいえばイイか。
 ええーっ、トキナーのレンズってこんなシャープな描写をしただろうか? と感じるほどの優れた描写だ。ソニーα7やα9シリーズユーザーはもっともっと注目していいだろう。

 最近のシグマのレンズはシャープで解像感の高い描写が特長だが線がやや太めの傾向がある。いっぽうのFiRIN 20mmAFレンズはシャープで高解像力な描写は似てはいるが、線が細く鋭利な刃物で切ったような描写感が特長と言える。
 F2開放絞りでも画面全体の中央付近約70~80%ぐらいは優れた描写性を確保している。四隅部分になると少し像が流れるが、F4ぐらいに絞り込むとほとんど気にならなくなる。周辺部の描写はともかくとして画面中央部付近の"目の覚めるような"くっきり描写には感心させられる。

 ところで、FiRIN 20mmF2レンズの「奇妙なこと」に話を戻すが、いったいなぜ、まったく同じレンズ構成(F値はもちろん、絞り羽根枚数も、最短も同じ)でMFとAFの両方を作って販売しているのだろうかということ。そんなメーカー、ほかにあっただろうか。




 フツー常識的に考えれば、MFならAFのことをまったく考慮せずにMFに最適な光学設計をするだろ。しかし2本のFiRIN 20mmレンズは、あれこれ「縛り」の多いAFに対応することを前提にした共通の光学設計にしている。
 MFレンズならば、AF測距レンズ群のことを考えず、インナーフォーカスにすることもなく、描写性能を優先させるために全群または前群繰り出し方式にすることもできたはず。

 なのに、AFレンズを優先させたレンズ設計にしてMFレンズも出している。
 無理のある推測だが、AFレンズのほうを先に発売してそののちにMFレンズを、というのであればわからないでもないが ━━ 内蔵のアクチュエーターを取り除いてフォーカス機構を少し変更すればよい ━━ FiRIN 20mmはまったく逆でMFを先に発売、後にAFレンズ。
 奇妙だよなあ、不思議だよなあ。
 その理由がわかってる人がいれば、ぜひ教えて欲しい。

2018.05.17 | | -

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