チタン合金カバーの仕上げの良さ

キヤノン・IXY DIGITAL 2000 IS
 実際の写りとはカンケイない話だけど、この2000 ISはカメラのデザインというか外観の仕上げについては、あまたあるコンパクトデジタルカメラの中ではダントツに素晴らしいと思う。まるで“工芸品”のようだ。
 以下は、キヤノンからの一部、“受け売り”だけど。
 外装部材はチタン合金。厚み約0.6mmの一枚もののチタン合金板を前カバーと後カバーのそれぞれを金型成形して仕上げている。いわゆる絞り加工。圧縮成形された前カバーにはレンズ鏡筒の穴開け、後カバーには操作ボタンやダイヤル類のための穴開け ―― これを“抜き加工”という ―― をする。そうしてできあがった前、後のカバーを隙間がまったく出ないように“ミクロン単位”の精密さで接合している。一枚板を精密金型で押し出し加工して、独特の緩やかな曲面をもったカタチ(カーバチャルフォルム)に仕上げ、シワ1つ出さずに成形することや、歪みなく正確に穴開けすることが、これがひじょうに難しい。高度な加工技術がいるらしい。


 ムカシ、京セラのコンタックスブランドのコンパクトカメラが、好んでチタン合金カバーを使っていた。その京セラの開発者の1人が「じつは国内でチタン合金を精密金型加工できるところは数カ所しかないんですよ、職人技が必要なんです」と、こっそり話をしてくれたことがあった。たぶん、キヤノンもそうした特殊技能を備えた「職人」のいるところでやってもらっているんだと思う。できあがったカバーをキヤノンの大分工場の職人たちの手で貼り合わせ加工をして仕上げているのだろう。
 感心したことの1つはボディ背面の液晶モニター表面とチタン合金の後カバー表面が、ほぼ完璧に“ツライチ”になっていることだ。これは最近のIXY DIGITALのシリーズの他の機種でも見られる。指先で境目表面を撫でてもその“段差”がまったくわからないほどに精密に組み合わさっている。よほどのこだわりと ―― キヤノンはときどきこうした外装の仕上げに、採算を度外視してるんじゃないか(ま、キヤノンのことだからそんなことはたぶんなだろうけど)、と、そう思わせるほどにこだわることがある ―― そして組み立て技術と部品精度の確かさがないと、ここまでの素晴らしい仕上げはとても不可能だと思う。