“幻”となったカメラ

ペンタックス・645DIGITAL(仮称)+FA645 80?160mmF4
 ペンタックス「645DIGITAL」は、数年間、地道に開発を続けていたけれど、結局、発売しないことになったのだ。その「未完のまま」の開発試作機種を特別に撮影させてもらうことができた。「645DIGITAL」の詳細やインプレッション、撮った写真などは、いま発売している「デジタルフォト6月号」に掲載している。ペンタックスが試作機種を使わせてくれて、それを記事にしたもの。「デジタルフォト」のスクープ記事、というわけだ。
 ぜひ見て欲しいのは、ワンカットを2ページ見開きにどーんと印刷した写真で、木々の小さな葉っぱまで、「これでもかッ」と言うほどに、微細にくっきりと描写している。肉眼で見るよりも数倍もきめ細か。撮った本人も (ぼくなんだけど) びっくり仰天の、とにかく“圧倒的な解像感”なのだ。使用した試作機種は“ローパスフィルター付き”だったが、発売時には“ローパスフィルターなし”も用意するつもりだったそうだ(デタッチャブル可能)。その撮影した画像を見て、もしローパスフィルターがなければどんなに凄い解像力なのだろうかとどきどきしたほどだ。
 (残念ながら下の小さな画像を見たってそのスゴさはわかりっこない。もっと大きな画像が見たい人は「デジタルフォト誌」をどうぞ)


 「645DIGITAL」 ―― 正式名ではなく仮の名 ―― は、フィルム中判カメラの「645N II」をベースにしたデジタルカメラで、レンズは645用のAF/MFレンズのすべてが使用できるように開発が始められた。撮像素子サイズは約44.2×33.1mm、約3200万画素のCCDで、コダック製。フィルム645判サイズが60×45mmだから、ちょうど35mm判フルサイズとAPS-Cサイズを比べたような“比率”になると考えればよい。645DIGITALの高解像力描写をならしめたのは画像処理技術ももちろんであるが、(1)約3.2MPの高画素、(2)大型の撮像素子サイズ、(3)レンズ描写性能、この3つのよるものではなかろうか。

 その使い勝手は、フィルム645判カメラとデジタル一眼のKシリーズとを「足して2で割った」ような感じだった。ボディサイズはフィルム645判カメラよりも「二回り」ほど大きい。が、ホールディング性はすこぶる良いしウエイトバランスもいい。とにかく、中判サイズのデジタルカメラがフットワークよく軽々とどこにでも持っていって撮影ができるということのこの意味は大きい。
 ただし、使いこなしはそれなりに難しい。正確にピントを合わせることと、ブラさないで写すことが大前提。極端なことを言えば、ほぼ無限遠に近い風景を撮るときも、きちんと狙ったところにピントを合わせて撮らなければいけない。それほどにピントにシビアなのだ。絞り込んで被写界深度をかせぐ、といったテクニックがほとんど通用しない。それほどのカメラだということ。しかしブラさずにピントをきちんと合わせて撮れば、期待以上の素晴らしい解像感の画像が得られる。ごくごく当たり前のことが確実にできないことには実力がフルに発揮できないぞ、というわけだ。