体力と財力は反比例する (C)アベちゃん

ニコン・D700 + AF-S Micro 60mmF2.8G
 出るべくして出てきたカメラだ。予定カメラ。昨年、D3を見たとたん、おおっ、こりゃあすぐに「コンパクトD3」が出てくるだろう、と、そんなことを考えたのはナニもぼくだけでなく、多くの人がそう思ったに違いない。出てきたD700はその価格もスペックも、的を射たというかサプライズもなく ―― とても堅実着実手堅い印象 ―― 、だから発表されたときももうひとつ“熱”が上がってこない。ただ、ぼくが意外だったのは、D700の「中身」がそっくりD3のまんまであったことで、てっきりD3からディチューンしてくるものと予想していたからだ。
 いや、そっくりD3のまま、とは言ったけれど、じつは撮り比べをしてみると、心なしかD3よりもD700のほうが画質が良いように感じた。そんなことはないはずなんですけどねえ、うふふふっ、とニコンの開発担当者は笑って否定していたけれど、どうもその「うふふふっ」が気になる。なにかウラがありそうだ。で、どのへんが良くなった感じがしたのか。高ISO感度でのシャドー部の描写が違う。D700のほうが黒のシマリが良くなってディテール描写も優れている。オートホワイトバランスの補正アルゴリズムも少し変わってD700のほうがわずかに良くなった(これについてはニコンは否定しなかった)。


 7月中旬に、このD700の新製品お披露目会(ニコンデジタルライブ)が東京と大阪であったのだけど、その大阪のほうの会場でぼくが少しD700の話をした。同時にアベちゃんも(あの阿部秀之さんでありますよ)話をしていて、そこで彼がおもしろいことを言っていた。いわく、『体力と財力は反比例する』。
 つまり、D3を購入できる人はそれなりの財力が必要、同時に重い大きいカメラを使いこなすにはそれなりの体力も必要。しかし、体力のある若い人は財力がない、財力のある年配の人は体力がない。反比例。だからぁ、D3が欲しくても使いこなしたくてもままならなかったよね、でもね、中身はD3でフルサイズで、なのに、ほら、こんなに小型化されて価格も安くなったよ、いいじゃないかD700っ、という話をアベちゃんがやっていたわけだ。
 まったくもってその通りで ―― 体力と財力はうんぬんの話、ね ―― 聞いていて大笑いしてしまった。ただ残念ながらぼくの場合にはその論があてはまらず、体力のある若いときも体力の衰えた年配になっても相変わらず財力は低いラインを保ったままなのが侘びしい。とはいえ、重い大きいカメラをぶんぶん振り回してイキがっている年でもなくなったのはたしかで、D700のような(比較的)小型軽量ボディに単焦点レンズをくっつけて、夕食後、ふらりと散歩に出かけてこんなシャレたオープンレストランの景色なんぞを、高ISO感度で気楽にスナップするのが似合っているようにも思う。

 ところで、フルサイズカメラかAPS-Cサイズカメラか、と問われれば、ぼくは(いまのところ)フルサイズのカメラのほうに魅力を感じる。なんだかほっとするんだよね。