D700の視野率95% ―― その5

ニコン・D700 + AF-S VR 70?300mmF4.5?5.6G
 D700が視野率にそれほどこだわらなかったのは、「D700クラスのユーザーは視野率100%にはそれほど気にしないだろう」とニコンが高を括ったからではなかろうか。
 コストと手間と苦労を重ねて、大きくて重くて高価な視野率100%のカメラを作っても、いったいどれくらいの人がその機能を評価して買ってくれるだろうか。視野率なんかよりも、いま多くのユーザーの望んでいるスペックはゴミ取り機能であり、より低価格で、少しでも小型軽量なフルサイズ判カメラなのだ、と企画担当のマーケティング部門は考えたのかもしれない。マーケティングリサーチをして、その結果ニコンは視野率を95%程度にとどめる判断した。D700の場合、視野率よりも優先順位がゴミ取り(や、他のこと)のほうがずっと上位にあったにちがいない。

 ところがD700を発売してみると、予想した以上にユーザーからの視野率95%に対する不満が大きかった(ようだ)。ニコンが想定していたD700ユーザーレベルなら視野率95%で納得(がまん)してくれるだろうと考えた。もうひとつは、ニコンが当初狙ったユーザー層よりも“上のクラス”の人たちがD700を購入したために、視野率の不満が噴出したのではなかろうか。ニコンの優秀な企画担当者の「じょうずの手から水が漏れた」か、ユーザーを甘く見ていたか。


 D700は視野率のことを除けば、ほとんど文句のない“フラッグシップ機種”と言ってもいいほど良くできたカメラだ。逆に言えば、だからこそD700にとって視野率95%が、最大で唯一と言ってもいいほどの不満点となってしまったわけだ。
 実際にD700を使ってみればすぐにわかることだが、これくらいのデキの良いカメラともなると(価格的にも性能機能的にも)、視野率100%はともかくとして98%でもなく97%でもなく、実用上“我慢の限界”に近いと感じさせる視野率95%なんて、許せるかっ、と憤慨してしまうほどだ。ぼくなんぞは(ちょっと極端だけど)ゴミ取り機能などいらないからD700は視野率100%にして欲しかった。D60やD80では視野率についてはそうは感じないのだけどD700を使い込むたびに痛切に不満を感じる。
 たかが視野率の5%程度なんか“心眼”でカバーしろよ、とか、撮った後に液晶画面を見て修正すればいいことだ、なんて言ってると、いまにバチがあたりますぞ。そんなカンタンなもんじゃないですよ、一眼レフの視野率ってもんは。

 かくかくしかじか視野率100%にこだわりましたが、しかし近い将来、すぐかもしれないけど、一眼レフカメラの多くが「レフ」も「プリズム」もなくなって視野率100%のカメラなんてアタリマエになる可能性は大いにあります。……そう言えばムカシ、視野率を100%にしろ、だなんてウルさいことをいう人がいたよなあ、なんて笑い話にされる時代がすぐそこまで来ているかもしれませんね。