クルマのワイパーと、レンズフード

ペンタックス・K20D + DA★55mmF1.4 SDM
 こうした大口径レンズは一般的な傾向として、開放絞り値では、ピントは合ってはいるのだが解像感がいまいち物足りないことがある。ちょっとネムい感じの描写とでも言えばいいか。でも、開放から少し絞り込むと解像感が出てきて画像もシャープになる、といったレンズがある。ペンタックスでいえばフィルム時代に設計されたFA50mmF1.4などにそうした傾向が少しあった。

 ところが、このDA55mmF1.4は開放絞り値からじつにシャープでコントラストもあり、解像感も十分にある。ふわっとした柔らかな印象の描写なのだが、それは画面全体にボケ部分が多いからであって、ピントを合わせた部分はキリッとした線の細い描写をしている。フレアーも、とても少ないレンズで、だからぼくは、フードをほとんど使わずに撮影をしていたほどだ ―― ぼくのマネしないでくださいよ、このクラスの焦点距離のレンズでは無精をしないでフードは使ってくださいよ、ただし広角レンズではフードなんてほとんど屁の突っ張りにもならないと思うけど。


 フレアーが少ない(と、感じた)のは、じつは新開発のコーティングのせいかもしれない。
 ニコンのナノクリスタルコート、キヤノンのSWC(Subwavelength Structure Coating、…なんてまあ難しいネーミングなんだ)などと同じ特殊コーティングが採用されていて、ペンタックスのそれはABCコート(エアロ・ブライト・コーティング、Aero Bright Coating)というもの。レンズ表面での反射を少なくして透過率を向上させる働きがあるという。構成レンズ群の真ん中あたりのレンズにコーティングされている。

 このような特殊コーティングとその技術については ―― 一枚コーティングするにしろ相当にコストのかかるもので、どんなレンズにも気安く使えるというモノでもないらしいが ―― 各社とも開発を進めていて、非球面レンズやEDレンズなどと同じようにレンズ性能を飛躍的に向上させている。もっと進化すれば「レンズフードのいらないレンズ」てのが将来、出てくるかもしれない。
 そもそも、あのレンズフードというのは、クルマでいえばちょうどワイパーみたいなもんだよなあ。大昔から旧態依然としたスタイルで続いていて、新型のスタイリッシュなモダンカーに乗るたびにワイパーを動かして「なんじゃこりゃ」と思ってしまう。ワイパーのないクルマ、フードのいらないレンズ、早くほしい。