大きなレンズと、小さなレンズ

ペンタックス・K20D + DA★55mmF1.4 SDM
 このレンズのAFは、SDM(超音波モーター)によるレンズ内駆動方式オンリーで、だからボディ内AF駆動式オンリーの*ist DシリーズではAFは動作しない。
 SDMの内蔵を始めたばかりのレンズ ―― DA★16?50mmF2.8やDA★50?135mmF2.8 ―― は、ボディ内モーター駆動方式のAFにも対応するメカニズムを、わざわざ内蔵させていた。SDM非対応の*ist Dなど古い機種で使用すると、自動的にボディ内駆動AF方式となり、K10D以降の機種ではSDMを使ったレンズ内駆動AFに切り替わった。
 ニコンはボディ内AFからレンズ内AFに切り替わったときは、ペンタックスと違ってあっさりと一部の旧型ボディに対応することを見限った(それはそれでしょうがない、と思うけど)。ところが、ペンタックスはといえば「律儀」にも、じつに複雑なメカニズムで両方式のAFに対応していて、それを見たときはペンタックスの「クソまじめさ」に、ほんと感心しまくりました。

 でも、いつまでもそうした両AF方式対応を続けられるモノではないだろうとは予想はしていたが、その後に出てきたDA17?70mmF4 SDMでは、とうとうレンズ内AFオンリーとなりボディ内AFに対応できなくなった。つまりこのDA★55mmも同じように、ボディ内AF駆動方式のカメラではAFでピント合わせができないということなのだ。


 FA50mmF1.4は、35mm判フルサイズ対応のレンズ。DA★55mmは、言うまでもないことだがAPS-Cサイズ対応のレンズ。ところが、これら2本のレンズを並べてみると、相当に大きさが違う。大きなイメージサークルを確保しなければならないはずのFA50mmレンズが、じつにコンパクトである。それに対し、DA★55mmは小さなイメージサークルをカバーすればイイだけなのに、なんだこれは、と思うほどに(2本を比べると)大きい。APS-Cサイズ専用レンズなのだから、もっとコンパクトに設計できないのだろうか、と不思議に思うだろうが、それはもっともだ。

 ところが、じつはAPS-Cサイズ専用レンズには、ふた通りのレンズ設計方法があるのだ。1つは、ただ単純に小さなイメージサークルをカバーするためだけに、コンパクトにレンズ設計するという方法。高倍率ズームレンズなどはこうした手法で設計されたものだ。
 もう1つは、レンズの大きさにはこだわらずに描写性能を最優先させたレンズ設計。余裕を持って贅沢にレンズ設計ができるので、当然ながらレンズ性能は良くなる。この手法で設計した代表的なレンズがオリンパスのスーパーハイグレードシリーズのレンズ群だ。あのちっぽけなフォーサーズ撮像センサーをカバーするのに、なぜあんなに大きくでかいレンズが必要なのかというのは、じつはこうした理由がある(だから、オリンパスのそれらのレンズは、めちゃくちゃ良く写る)。
 というわけで ―― と、いつものようにハナシが長くなってしまったが、このDA★55mmは小型軽量よりも描写性能を優先させて設計された贅沢仕様のレンズなのでありますよ、ということ。