単焦点レンズのすすめ

ニコン・D700 + AF-S NIKKOR 50mmF1.4G
 最近、単焦点レンズを使う機会が多い。雑誌などからの依頼も増えたこともあるが、個人的にも、積極的に単焦点レンズを使うことが多くなっている。ズームレンズに比べれば、そりゃあもう、めんどうだし荷物も増える。でも、それさえちょっと我慢すれば、撮影することが俄然、愉しくなる。単焦点レンズばかり使い続けると、ふんっ、ズームレンズなんて使ってられるか、てな気持ちになることも、なくもない。これ、ほんとです。
 描写性能もズームレンズに比べれば文句なしに良い ―― ズームレンズのそれが「悪い」というわけではないぞ、ムカシのことを思えば別世界の描写性能だ ―― 。単焦点レンズには開放F値の明るいレンズが多い。ぼけ味も、個性的で美しい。言うまでもないことだが、単焦点レンズは1本のレンズにたった1つの焦点距離。ズームレンズは1本のレンズに無限数の焦点距離を備えている。単焦点レンズが「一点豪華主義」だとすれば、ズームレンズは「ちゃらちゃら八方美人主義」と、いえなくもない、か。


 むろん単焦点レンズの不利な点もある。フレーミングをちょいと変えるにしても、動いて、覗いて、修正して、動いて、覗いて、を繰り返さなければならなこともある。大きくフレーミングを変えようとすると、焦点距離の異なるレンズと交換せねばならない。レンズ交換のめんどうさはともかくとして、シャッターを切るべきチャンスを逃したくない場合など大いに困る。
 でも、そのような不便を毎回続けていくうちに、ズームレンズを使っているときとは被写体の「見方」やフレーミングの「囲み方」がだいぶ違ってくることに気づくはずだ(たぶん)。被写体の様子をしっかりと観察するようになる。フレーミングに工夫と努力をするようになる。これでいいっ、との思いっきりもよくなる。とうぜんながら、撮った写真も違ってくる ―― だいぶ個人差によるところも多いですけどね。
 というわけで、機会があればズームレンズはしばしの間、引き出しの中にしまっておいて、単焦点レンズを使ってめんどうさを実感してみてはいかがでしょうか。