徹夜の朝の六本木

ニコン・D700 + AF-S NIKKOR 50mmF1.4G
 この50mmF1.4Gは32年ぶりに光学設計をやり直した新製品である。旧型(といってもまだ販売中)がAF-S Nikkor 50mmF1.4Dで、その改良版。そう言えば「ニッコール」の表記が「Nikkor」から「NIKKOR」に、少し前から変更になっているのをご存じだろうか。今後、すべて大文字の NIKKOR とするそうだ(理由はよくわからん)。で、この新型50mmもNIKKORとなっている。…どうでもイイか、こんなこと。
 ニコンが公開している新旧の50mmレンズのMTF曲線を見比べてみると、「ええっ」と驚くほどに新型50mmが良い。しかし、実際に新旧50mmレンズでいろんなシーンを撮り比べてみると、そのMTF曲線の違いほどの“違い”がない。旧型50mmもそこそこ良く写っている。そうなんですよ、レンズとはそういうもんですよ。新型50mmレンズを使ってみて、おもしろいなあと感じたのは、無限遠でのコマ収差がとってもよく補正されているのだけど、近距離の少しアウトフォーカス(手前ぼけ)になると、うわっ、と声を上げたくなるほどの凄いコマ収差が出てきたことだ。


 そもそもMTF曲線なんて、そっくり鵜呑みにするようなもんじゃないですよ。レンズの総合的実力を判断する材料としては“屁の突っ張りにもならぬ”、とは言い過ぎだけど、参考程度にとどめておくのがよろしい。あんなもん穴の開くほど見たって、せいぜい解像性能やコントラストがわかる程度。それに、MTF曲線なんて理論値(理想値)に過ぎないわけですよ。実際にレンズをくみ上げてそれを使って実測してMTF曲線図を作ってるワケじゃあない。部品精度も組み立て精度も無視した机上の図。レンズはやはり撮ってみないとわからない、使ってみないとわからない。
 ニコンが公開しているMTF曲線は開放絞り値だけで、絞り込んだときのそれは非公開なのだ(新型50mmのF5.6に絞ったときのMTF曲線を見せて、とニコンに頼んだのだけど「ダメ」のひと言)。ちなみに、キヤノンは開放絞り値とF5.6を公開しているし、ペンタックスはいっさい非公開。ニコンもキヤノンも10本と30本のS線/M線を見せているが、オリンパスは20本と60本、というように各社それぞれ。いずれにしてもですよそのサジタルとメリジオナルの2種類の曲線から情報を読み解くには相当のレンズ知識がないと不可能だし、もしわかったところで、ぼくたちはあらゆる光の条件で森羅万象を写しているわけだから、あまり役にはたたんですね。