多忙でした…

リコー・GR DIGITAL III
 いささか過激なアドバイスになるが、もし、このGR-D III の購入を、うーむどうしよかなあ…、と真剣に迷っているなら、この際、思い切って買ってしまってもいいんではないか。使ってみればきっと満足するに違いない、と思う。とくに、初代GR-Dや二代目GR-D IIを使ったことのある人にとっては ―― ぼくがそうなんだけど ―― この三代目GR-D IIIをほんの短時間操作してみただけで、デキの良さがすぐにわかる。とにかく、前、前々モデルとは“段違い”に良くなっている。そう言う意味では、最近では珍しく大変に「わかりやすい」カメラだ。

 と言ってしまうと、初代GR-Dや二代目GR-D IIのことが身も蓋もなくなるのだけれど、でもそれは他の商品でも同じことがいえるんじゃないか。こうした前モデルの基本テーマを保持したまま改良を加えたモデルチェンジ商品は、確実に良くなって当たり前だ。クルマでも同じで、たとえばメルセデスなんか外観デザインは大きな変化はないけれど、その新型車に乗ると「なんじゃいったいこれはっ」と唖然とするほど旧型に比べると良くなっている。


 思い切って買ったほうがイイよ、とアドバイスしているのは ―― 言うまでもないけど ―― GR-D III のようなこのテのカメラに「興味津々」の人に対してであって、それ以外の人には、むしろ勧められない。レンズ交換式のデジタル一眼に未練のある人やズームレンズ内蔵コンパクトカメラの使いやすさに満足している人は(たぶん)買わない方がいいと思う。
 いっさい画角も変えられない固定式単焦点レンズ、それに28mm広角レンズ。使いこなそうとするには、それなりの「覚悟」が必要だ。ここがいちばんの高いハードルだと思う。

 単焦点レンズだからズームのように指先でちょいちょいとフレーミングを変えることができない。前にいったり後にさがったりせざるを得ないし、かりにそうしたって思ったようなフレーミングができないこともあるだろう。そのときに、すっぱりとアタマを切り替えて、臨機応変にフレーミングを決め直してから画面を構成する、といった撮影テクニックも必要になる。
 28mm画角は最近でこそ、とってもポピュラーな画角になっているけれど、広角レンズ特有の描写のクセがあることはムカシから変わらず、そこんところのクセを知って使いこなさないと(初心の人でもこのへんのことを直感的にわかっている人がいるようだけど)、ただの漫然とした広く写っているだけの写真にしか仕上がらなくて、ああ、なんだこのカメラはツマらないなあ、と言うことになりかねません。
 ズームレンズの28mm画角と単焦点レンズの28mm画角とは、似てるようだけど根本的にぜーんぜん違うもんです。