感動が伝えられないもどかしさ

フジフイルム・FinePix REAL 3D W1
 ステレオ・デジタルカメラが「W1」で、ステレオ・フォトビュアーが「V1」で、そしてステレオ・プリントががあって、3つが“セット”になり、これが「FinePix REAL 3D System」である。3Dカメラ、3Dフォトビュアー、3Dプリントからなる3Dシステムに共通のキーとなるアイデンティティが、「ステレオ映像が裸眼で見られる」という点である。
 従来までのステレオ映像を鑑賞するときは立体視するためのメガネが必要だったのだけど ―― 平行法または交差法で両眼と頭脳を駆使することで、メガネなしの裸眼でステレオ写真を鑑賞することもできるけれど一般的ではない ―― それが、フジの「REAL 3D System」を利用することで、世界で初めて「メガネなしでステレオ写真もステレオ動画もカンタンに見られる」ということになった。ここがスゴイ、スバラシイところなんですよ(ちょっとクドいか)。

 ステレオ映像を得るためには左側と右側で撮った2つの画像が必須となる。人間の眼が左右2つあって、それで立体視しているのと同じ原理。そのためにW1には77mmの間隔をあけて屈曲型3倍ズームレンズと1/2.3型1000万画素CCDが搭載されている。77mmの間隔のことを「ステレオベース」とか「視差」という。人間の両眼の距離は60?65mmで、いままであったステレオカメラのほとんどもそれにならって約6センチだったのだが、W1はそれより少し長い約8センチのステレオベースにしている。理由はいろいろあるのだが、その1つは、より立体感を表現できるということ。
 ……うーん、こういう原理的な説明を続けると、きりがなくなるのでテキトーにしておくが、W1がカメラのメカ部分として良くできているところは、2つのレンズユニットの光軸が少しでもズレていてはステレオ効果がでてこない。センサーサイズが小さいので従来のステレオカメラよりもずっと組み立て精度の要求度が高くなる。使っているうちにわずかにズレてもいけない。そのために、このクラスのカメラとしては珍しくアルミダイキャストのボディ構造を持っている。あれこれコストがかかっておるのだ。


 W1の液晶モニターは2.8型23万ドットで、ライトディレクションコントロールという方式で立体像に見せている。簡単に言えば両眼で見ている画面の左右を高速で切り替え表示している(実際は右目で左画面、左目で右画面を見る交差法)。いっぽうのステレオフォトビュアーのV1のほうはパララックスバリア方式で、こちらは液晶画面の前に細いスリット状のバリアを組み付けて、それで左右の眼で画面を見るという方式だ。ライトディレクションコントロール方式のほうが視野角度が広く見やすいが製造コストが高い。ライトディレクションコントロールは製造コストはやや低くおさえられるけれど解像度(とくに縦方向)が半分になってしまううえ、視野角度が極めて狭い(約2?3度)。

 と、なんだかんだと説明しても、やはり実物を見て立体感を感じるのがいちばんだと思うのだが、ただし「見る」ときの注意点が少しある。W1を被写体に向けて液晶モニターを見るときは、まず、シャッターボタンの半押しをしてピントを合わせることだ ―― カメラを構えたとき指がレンズにかからないようにね ―― 。AF測距することで視差調整がおこなわれ背面の液晶画面が立体画像に見える。液晶画面を真正面から見ることはとうぜんだが、画面との距離は約15?20cmぐらい離してみるのがいい。動画がおもしろいので、ぜひぜひ試して欲しい。
 フォトビュアー・V1は視野角度が狭いので“スイートスポット”を探すのに少し苦労するかもしれない。明視距離は約40?60cmぐらいで、ビュアー画面を真正面から見る。立体に見えないようなら、ほんのわずか顔の位置を左右のズラしてみるとスイートスポットに入り、ふわーっと奥行き感ある立体画像に見えてくるはずだ。レンチキュラー方式のステレオプリントの話も、と思ったが、これまた話が尽きそうにないので、やめ。
 上のステレオ写真は平行法で見て欲しいんだけど、……でもねえ、こんな2D写真じゃあつまらんよなあ。