「一家に一台」おすすめカメラ

ニコン・COOLPIX S1000pj
 S1000pjの「pj」はプロジェクターの意味で、つまりこのコンパクトカメラの中に小さな液晶プロジェクターが組み込まれていて、いま撮影したばかりの画像を内蔵のプロジェクターで白い壁などに投影して鑑賞することができる。世界初のプロジェクター内蔵カメラである。屈曲型の5倍ズームレンズを内蔵した、ごく普通の薄型ボディのコンパクトデジタルカメラだけどその中に超小型の液晶プロジェクターユニットを開発してそれを詰め込んでしまったというのがミソだ。開発当初は弁当箱以上の大きさがあって「おいおい、これをどうしてカメラの中に入れるんだよぉ…」というところからスタートしたそうだ。

 こうしたアイディアはじつは数年前からあって、ニコン以外にもいくつかのメーカーでも考えていたフシがあるが(部品メーカーからの売り込みもあったようだけど)、「そんなもん商品になるもんか」と、やめてしまったようだ。でもしかし、そこに敢えてチャレンジしたのがニコンで、数年かけて大変に苦労して完成に漕ぎ着けたそうだ。とにかく、こういうもんは、やったが勝ち。
 使ってみると、こりゃあ、大変におもしろいです。ひさびさに、本気で「これは欲しいっ!」と思ったカメラでありました。カメラボディの外観デザインは、ニコンのコンパクトらしく味も色気もないけれど(もうちょっとシャレたデザインにならなかったもんだろうか)、しかしその中身が素晴らしい。


 液晶プロジェクターの明るさは約10ルーメンで、画面サイズは投影距離(約26センチから約2メートル)によって異なり5型?40型までである。解像度はVGA相当。ピント合わせはマニュアルでおこなう。光源は白色LEDで、これが意外と明るい。だから明るい室内でも真っ白な壁か白い紙を用意して、投影距離が近ければそこそこの明るさがあって視認性の不満は少ない。部屋を少し暗くすれば、投影距離をさらに離してより大きく拡大映写することもできる。電源はカメラ内蔵のバッテリーをそのまま使う。連続投影時間は約1時間。静止画だけでなく、動画も映し出すことができる。音声付き。これがじつに愉しい、おもしろい。どこで“デモンストレーション”やっても大うけでしたよ。

 フィルムカメラの時代はプリントをして、そのプリントをどこにでも持って行って、皆んなで見て同時に鑑賞して愉しんでいた。ところがデジタルカメラの時代になって(プリントすることよりも)、カメラ内蔵の小さな液晶モニターで写真を個人で鑑賞するスタイルが多くなった。デジタルカメラになって、写真が皆んなで同時に共有する愉しみが薄れてきたわけだ。

 そこで出てきたのがこのS1000pjなのだ。いま撮ったばかりの写真をその場でプロジェクターで投影することで、皆んなで同時に見て愉しむことができるようになった。写真の愉しさをリアルタイムで共有できる。インスタント写真に似たところもなくもないが、手軽さと鑑賞する写真のサイズが大きいこと、そして動画も同じように愉しめることなどなど、新しいデジタルカメラの始まりを切り拓いたと思う。ぜひ一家に一台どうですか、と言いたくなるほどのカメラでありました。