画像処理で収差補正することは善か悪か

オリンパス・E-P2+M.ZUIKO DIGITAL 17mmF2.8
 キヤノン・PowerShot S90の内蔵ズームレンズが画像処理で歪曲収差の補正をおこなっていることについて、その「事実」を知ってしまったとたん、謹厳実直、理想追求型の真面目な人は(たぶん)大きな不満と怒りを感じておられることだろう。画像処理で収差補正をやっていることをまったく知らなければ、S90に幸せいっぱいを感じて使っておられるに違いない。

 でも、そもそも写真もカメラも、「結果」さえ良ければそれはそれでいいのじゃなかろうか、というのがぼくの考え。むろんこの考え方に正反対の考え方、感じ方をした人もいる。それはそれでいい。「途中経過」にこだわるというのは、たとえば、AEやAFで気軽に撮った写真よりも、苦労してMFやMEで撮った写真のほうが「上級だ」と見なすようなもの、料理の味をストレートにうんぬんするのではなく、どれだけ手間ヒマかけて料理を作ったかのほうを重要に考えるようなものですね。それはそれでいいと思うし、事実、そうした考えの人も多い。
 つまりですぞ、だからこそ、そういった人たちのためにも、キヤノンはできるだけ「手の内」を見せないように、ユーザーが「いらぬ」心配をしないようにすべきだと思うわけだがやってない ―― やってない理由は、ま、いろいろあるんですけどね ―― 。そのキヤノンに対して、オリンパスはといえば、逆に徹底して「手の内」を見せないように「努力」をして、それを「実践」している。


 このオリンパスのマイクロフォーサーズのE-P2は、画像処理で収差補正をしっかりとしているのだが(E-P1もそうだけど)、しかし、そうしていることをユーザーにわからないような「配慮」をしている ―― その具体的な方法についての詳細は内緒なのでここでは説明しない。
 E-P1の初期の機種では「ある操作」をすると、画像処理をする前の、補正前の状態を「見る」ことができたのだが、最近の機種では、それを見ることができないようにしてしているのだ。

 繰り返しになるが、オリンパスはE-P2でもE-P1でも、画像処理でレンズの歪曲収差や色収差などを補正している。色収差の補正はともかくとして、歪曲収差の補正をしていることは、以前、雑誌のインタビューをしたときに、オリンパスの開発者がはっきりと答えている。「さらなるコンパクトさを追求するためデジタル処理を行っています。画質を落とさずに、レンズを小さくするための方法論があるのだから、そこは躊躇せずにやっていこうと考えました」と、レンズ設計者は明快に言ってのけた(「デジタルフォト」9月号)。
 その答えを聞くまでもなく、あれだけの小型でそこそこの性能を持ったレンズを作るのが難しいことぐらい、ちょっとのデジタル写真の仕組みのことや初歩のレンズ設計の知識があれば自明なことだ。キヤノンのS90のように、RAWで撮って、それをオリンパスの専用RAW現像ソフト以外で現像したとしても、補正していることが(ほとんどの人たちには)わからないようにしている。
 こうしたオリンパスの姿勢、つまり、わからないよにデジタル画像処理を上手にやって、それを徹底的に隠すことこそ正しいことだと思う。そう思いませんか、みなさん。

 上の写真は目黒にある「現代彫刻美術館」である。いま、現代の気鋭の作家たちの作品をあつめて特別展が開催されていて、その中の土井敬真氏の木彫作品である。この美術館はぼくのマル秘散歩ルートの1つにあって、詳細はあえて語らないが、その立地環境も含めて「いっけんの価値あり」の不思議な空間を持った美術館であります。目黒駅、または中目黒駅から、徒歩で約20?30分。必ず、徒歩でこの美術館を訪れることをおすすめしたい。