ライカの魅力はカメラボディである

ライカ・M9+Elmarit M 28mmF2.8
 ライカレンズの描写の良さやその魅力がよく語られるが、それを聞くたびに、「はてな?」といつも疑問に思う。以下、フィルム用のライカについての印象だが、ぼくはライカレンズをいままでに何本も使ってきたし何本も持っているけれど、「いいレンズだなあ」と感銘したレンズはほとんどない。ごくふつーの写り、か、それ以下のものも少なくない。
 といっちゃ身も蓋もないが、「レンズの味」という観点で見れば好き嫌いがありますから、「好き=良い」と判断すれば「良い」レンズもあるのかもしれませんね。でもやはり、純粋にレンズの描写実力を見てみれば、ツアイスレンズに比べればライカレンズは相当の格落ちを感じてしまう。

 「ライカはボディ、コンタックスはレンズ」
 というのが古くからの“定説”で、ぼくもまったくその通りだと思う。

 ライカボディに比べればコンタックスの(あ、古いカメラのことね、レンジファインダーの)それは、使いづらいは故障するはで、デザインの良さ頑丈さ使い勝手の良さのライカボディのほうが数段上。バルナック型ライカもM型ライカも、じつに均整のとれたボディスタイルで見ているだけで飽きないし、手にしたときの指先に感じる至福はなんとも言い難いものがある。でも、撮ってみるとコンタックス+ツアイスレンズの写真の階調描写力や切れ味描写にいつも感服してしまうのだが、ライカ+ライカレンズにはそれがない。


 そんな、やや偏執狂的なライカボディファンのぼくは、M9を見たとき「うーむ」としばし絶句してしまった。
 フィルムM型ライカに比べると、重くて大きくて、そして使い勝手は大変に悪い。M8を使ったときは、これほど悪い印象を受けなかったのだが、M9はなぜなんだろうか ―― たぶん、ファインダー側のカメラ上部のデザイン処理を変更したからだと思うが ―― とにかく“ぶさいく”なのだ。まあ、この写真を見てみてはいかがかな。
 上からM9、M3、そしてIII Fである。M3、III Fはフィルムカメラであるから軍艦部のメカっぽさはそのせいだが、それにしてもM9のあまりのそっけなさ、ボディの厚みをいっそう“強調”させるかのようなデザイン処理。いかにもM型デジタルカメラ、といった印象を受けるから、これはこれでイイのだ、と、そう言えなくもないが(言いたくもないけど)。

 M9は撮影に苦行を強いるカメラでもある。
 いや、その操作の厄介さ、めんどうさがいいのだ、決められた手続きを体得し、作法にのっとって扱ってこそライカなのだ、というご意見もありましょうが、でもM9のそれは、そういった次元の話ではないように感じないでもない。バルナック型ライカ各種にしても、M2、M3、M4、そしてM5のどれもが、いつ使っても手のひらに吸い付くようにホールディングできて、指が勝手に動いてカメラの操作がおこなえるのに(いまでもそうだ)、M9は、じつに残念至極だったが、そうではなかった。それに、ボディの厚みと軍艦部のデザインが、どうにもこうにも気になって仕方なかったなあ。