裏面照射型CMOSを搭載

カシオ・EXILIM EX-FC150
 裏面照射型のCMOSは、ソニーのDSC-WX1とTX1がスチルデジタルカメラとして初めて採用した。そのソニーに続いてカシオからも同じ裏面照射CMOSを使用したカメラが2機種発売になった。
 1つは20倍の高倍率ズームレンズ内蔵の“一眼スタイル”のEX-FH25で、もう1つが37mm相当からの5倍ズームレンズを内蔵させた、これ、FC150であります。いまのところ、一般デジタルカメラ用の小型の裏面照射型CMOSはソニー製しかないから、カシオのセンサーもソニー製の同じものだと思う ―― カシオに聞いたって「知らん」と言うに決まっている。

 ただしソニーのほうは、スペック表記上では1/2.4型で有効画素数が1020万画素となっている。ところがカシオのカメラでは、1/2.3型の有効1010万画素とスペック表記されている。微妙にセンサーサイズと画素数が違っているけれど、たぶん、同じものなんじゃないかなあ…断定はできませんけど。でも、どっちにしてもセンサーの「中身」の性能は同じでしょう。

 裏面照射型というのは、カンタンに言えば、従来のCMOSセンサーを上下に裏返した構造にしたものだ。つまり、従来型センサーは光があたる上面に、受けた光の信号を伝達するための回路部分が張り巡らしてある。その下側に、光を受け取るフォトダイオードが配置してある。この方式だとフォトダイオードの上にある回路部分が邪魔をして十分な光が届かない。

 そこで、これをひっくり返して回路部をフォトダイオードの下側にくるような構造にしたのが、その裏面照射型CMOSだというわけだ。邪魔ものがなくなったから、光がストレートに受けられるようになり、少ない光量の場面で無理矢理に光を増幅させる必要もない。だから、暗い場所で高ISO感度で撮っても画質がよい。ソニーのものもカシオも、最高ISO感度はどちらもISO3200まで設定ができる。
 この裏面照射というアイディアそのものはムカシからあったが、しかし、なんせそうしたセンサーを作るのが難しかった。そんなもん、いままで通りに作っといて、ころっとひっくり返したらエエやん、というわけにはいかんのだ。

 さて、ここまでの説明を読んで、「うんなるほど…」と、裏面照射CMOSの構造と理屈に興味を持った人は、デジタルカメラの撮像センサーにいささかの関心のある人だ。でも、そうゆー人はですぞ、とくにコンパクトデジタルカメラのユーザーの中では、いまとなってはごくごく少数だ。ほとんどのコンパクトカメラユーザーは、撮像センサーがどうのこうのなんて、どーでもよろしやおまへんか、という人ばかり。
 ところがカシオは、この裏面照射型CMOSにかける思いが熱すぎて、どーでもよろしやおまへんか、のユーザーに向う気持ちが“前のめり”になっているんですよ。ハタから見ると、笑っちゃうぐらい、カシオの気持ちは熱くてほほえましい。その熱いハナシは、次号につづく…。