オートホワイトバランス

キヤノン・EOS-1D Mark 4 + EF 24?105mmF4 L IS
 オートホワイトバランス(AWB)の、その本来の目的は撮影時の光源にかかわらず自動的に補正をして「白いものを白く写す」ことだ。しかし最近では、そのもともとの“目的”から少しズレてきて、ホワイトバランスの補正を強くせずに、その場の光の色の雰囲気を残すような補正をするようになってきた。
 たとえば色温度の低いタングステン光(電灯光)はオレンジ色っぽい発色をする。ムカシのデジタルカメラのAWBはこうしたタングステン光のオレンジ色を丁寧に補正していたが、しかし撮影場面の雰囲気を表現するために、敢えてホワイトバランス補正をせずにオレンジ色を残すようなAWBのカメラが多くなった ―― なおいまでも徹底して補正する傾向の強いカメラも一部にはあるけれど。

 ところが、世の中一筋縄ではいかないのはAWBも同じことで、アベイラブル・ライトの「色」を残しすぎると「きちんと補正できてないじゃないか」とブーイングが起こり、逆に、色を補正しすぎると「雰囲気のない白々しい色調だ」と文句がでる。
 いまどこのカメラメーカーもそうだが、ホワイトバランス担当の開発者は、いったいどうすればいいのか、とアタマを抱えているといのが現状だ。


 AWBの補正については、とくに海外のプロのスポーツカメラマンなどから強い要望が出ている。人工光源を使った夜間や室内の競技を撮影するときに、プリセット・ホワイトバランスでは補正することが難しく、いきおいAWBに頼ってしまう。しかし、ホワイトバランスの自動補正のレベルが弱ければ思ったような色調に仕上がってくれない。クライアントからクレームがつく。仕事にならない…。

 このようなプロカメラマンの声を早くからキャッチして、文句がでないように対応しているのがニコン。ニコンのAWBは、強く補正をする傾向がある。それに対して、キヤノンはずーっと一貫して雰囲気重視で、アベイラブルな光の色を残すようにしてきた。とくにタングステン光源でその傾向が強かった。
 それが一転、キヤノンはEOS 7Dで大きくAWBの補正傾向が変更され、少しだけだけど補正を強くするようになり、同じくEOS-1D Mark 4 にもそれが受け継がれている。じつに思い切ったことをしたと思う。
 EOS 7D以前の機種と、最新の機種を同じAWBで撮り比べてみると、ぜーんぜん違う発色をすることがわかるはずだ。