キヤノンが踏み出した「一歩」

キヤノン・EOS-1D Mark 4 + EF 70?200mmF4 L IS
 もう一歩の踏み込みが足りなかったキヤノンが、1D Mark 4 で踏み出した「一歩」、その話のつづき。

 1D Mark 4 の最高ISO感度は、拡張感度(H1?H3)とはいえISO102400相当まで選べる。むろん、1D Mark 4 の発表の数ヶ月前に、ニコンがD3SでISO102400相当の超高感度を達成していることは皆さんもよく知っていることだと思う。それはさておき、ぼくが言いたいことはですぞ、ご期待の「キヤノン対ニコン」の話なんぞではなく、1D Mark 4 のISO102400相当の超高感度の「画像(画質)」のことなのだ。

 もったいぶらずに急いで言うと ―― 急ぐと誤解されるんだよなあ ―― その、1D Mark 4 の、ISO102400相当の感度で写した画質の「ヒドさ」に驚いたわけだ。ほら、もう、このひと言で誤解している人がいる…そうじゃなくて、ぼくは、キヤノンがよくもこのような画質を思い切って「出した」よなあと、そこに感心したし、評価したいのだ。キヤノンは変わったなあ、良い方向に向かおうとしていると実に印象的だった。


 その画質は大変にノイジーでコントラストもないし、なんとかこうにか“写っている”というのが見た正直な感想であります。ニコン・D3SのISO102400相当の画質(こちらなら我慢できるし、少し納得すれば実用にもなる)とはだいぶ差がある。いままでのキヤノンなら、こんな画像なら決してカメラに搭載なんかせずに済ませていたに違いない。クサいものにはフタをする、メーカー目線、だ。
 ノイジーだ、絵になっていない。ただ、それだけのことで1D Mark 4 にかぎらず、カメラの評価に悪い断を下してしまう直情径行者が大勢いることはキヤノンは百も承知。でも、そこを敢えてキヤノンは「一歩を踏み出し」て、そのISO102400相当のヒドい画像でも「撮れる」ようにしてくれた。これこそが、ユーザー目線。

 キヤノンのある開発担当者は、「ノイジーな画像であることはわかっています。しかし、使えるか、使えないか、を判断するのはお客様です、われわれが勝手に判断してカメラに搭載しないのはよくない、そう思いました」と話をしてくれた。いやあ、ほんとよく決断した、と思いますよ。ぼくは、いま1D Mark 4 のISO102400相当の画質をボロカスに言ったけれど、キヤノンが判断した「選択はユーザーに任せる」その姿勢を高く評価したいと思う。

 というわけで、最近のカメラの中では、ニコン・D3Sとともに、使ってみて深く感動したEOS-1D Mark 4 のハナシをひとまず終了です。