S8000の「起動時間」の謎

ニコン・COOLPIX S8000
 S8000の起動時間が遅い、3?4秒もかかる。あれこれ設定を変えてみたが大きな違いはない。どうもヘンだよ。高速起動を謳っているS8000なのに、どうもよくわからん。といった話題を取り上げた。ニコンのコンパクトカメラのカタログを見てみると、このS8000の起動時間は「高速、0.75秒」とハッキリと書いてある。
 でも、ニコンともあろう一流メーカーがウソを記載するわけはない。不思議だ、と考えていたら、ここの読者だという人から「0.75秒とニコンが言っているじゃないか、あたなの使ったS8000がヘンではないのか」とメールが来た。いや、カメラはヘンではない、正常品だ。

 原因はカメラの故障ではない。
 S8000に限定さた「独特(オキテ破りの!)」の動作シークエンスによるものなのだ 。
 他のコンパクトカメラを扱うように操作する限りは、金輪際、ゼッタイに起動させて「0.75秒」で撮影することはできない。失敗写真になってしまうことを覚悟の上、大胆に「ある操作」をすればカタログスペック通りの「0.75秒高速起動」で撮影できる。カタログ表記はウソではないのだ。


 そもそも、カメラメーカーが「起動時間」を言うとき、必ずCIPAガイドラインの仕様基準に準拠してなければならない。そのガイドラインによると起動時間は「電源をONにして撮影可能になるまでの時間」ということになっている。以下、詳細な付記があるが、つまりカンタンに言えば、スイッチONからファーストシャッターが切れるまでの時間が起動時間。
 S8000はメインスイッチをONにすると、ほぼ同時に液晶モニターが表示される。でも、このときシャッターボタンを半押ししてもカメラは無反応。AF測距もできない。じっとがまんして3?4秒待つと、やおらカメラ情報が表示されてスタンバイ状態になる。ここでようやく、シャッターボタン半押しでAF測距が可能となり撮影ができる。
 これが「ファーストシャッター」だと思い込んでいたのだが、S8000には、じつはそうではなく、そのまえに「もう1つのファーストシャッター」があったのだ。

 答えは「シャッターボタンのイッキ押し」だ。
 AFカメラの“禁じ手”であるシャッターのイッキ押し ―― ぼくはこの操作を忌み嫌っている ―― をすれば、正真正銘、確かに「起動時間0.75秒」でシャッターが切れて撮影できる。ただしカメラの設定が工場出荷時のディフォルト状態であることが必要条件だ。
 でも、この方法でシャッターボタンを押し込んでも、液晶画面にはAF測距フレームもでない(どこにピントが合っているのか不明)、AF合焦音もしない(ほんとにピントが合ったのかどうかも不明)、いっさいの情報表示がでない(カメラが正しく動作しているかどうかも不明)。

 シャッターボタンを半押しする。AFフレームが表示される。それを被写体に重ねてピントを合わせる。ピントが合ったことを確認する。それからシャッターボタンを丁寧に押し込む、という正しい操作で撮影をしようとすればS8000は、3?4秒の間、じーっと待ってなくてはならない。ところが超初心の人がやるように、シャッターボタンに触れずにおき、「撮りたい」と思った瞬間に、一切合切ナニも考えずシャッターボタンをガツンッ、と押し込む。そうすれば「起動時間0.75秒」でシャッターが切れて撮影ができる。間違いなくCIPAのガイドラインの表記に準拠しているが、ニコン、ちょっとおかしくないかい。