月と離れてしまった宵の明星

リコー・GXR+P10 28?300mmF3.5?5.6 VC
 GXR用カメラユニットの名称についての解説、昨日のつづき。

 A12の「50mm」、S10の「24?72mm」、P10の「28?300mm」は ―― 少し話が込み入るのだけど ―― それぞれのレンズの実焦点距離数を表しているのではなく、35mm判換算での「換算画角」を示している。つまり、P10は35mm判カメラ換算で28?300mmレンズの画角相当をカバーするズームレンズを内蔵している、という意味だ。
 各カメラユニットのレンズの“正しい焦点距離”は、A12が「33mm」、S10は「5.1?15.3mm」、P10は「4.9?52.5mm」である。
 GXR用カメラユニットがこうした表記スタイルを採用したのは、各ユニットの撮像センサーのサイズが異なり焦点距離と画角の換算で混乱するのを避けるため。撮影画角を直感的に理解してもらうための表記と考えればよい。リコーの、ユーザー目線にたったユーザーにやさしい表記であると思う。

 レンズの焦点距離と画角の関係は、撮像センサーの大きさ、つまり実画面サイズによって変わる。同じ焦点距離のレンズでも実画面サイズが小さくなれば画角は狭くなる。サイズが大きくなれば画角は広くなる。
 写真の世界では撮影画角を表すときには実際の角度の数値は使わずにレンズの焦点距離数値でいうことがムカシから一般的である。35mm判カメラでの話に限定するが ―― 中判カメラの話は少し横に置く ―― たとえば焦点距離50mmの対角線画角は約46度だが、「このレンズの画角は46度」なんてことは通常、言わない。「50mm画角」で通じる。


 というわけで、撮像センサーのサイズがまちまちのデジタルカメラでは、「画角」をわかりやすくするために、一般的な35mm判カメラに“置き換え”てそのときの換算焦点距離をいうようになった。GXR用カメラユニットのレンズ焦点距離が35mm判換算での焦点距離が表記されているのはそうした理由からだ。レンズだけが交換できるシステムなら話は少し違ってくるけど、GXR用カメラユニットは撮像センサーとレンズは固定されている。
 リコーのこの表記はヘンでもナンでもない。じつにまっとうで正しい。デジタルカメラにとっては、理想的な表記方法、と言ってもいいくらいだ。

 ところが、上記のような換算焦点距離をユニット名称とするのは ―― 各ユニットのレンズには実焦点距離が明記してあるにもかかわらず ―― “サギ”じゃないか、なんてトンチンカンなイチャモンを付けているヤツがいるようだ。ユニットの名称には実焦点距離を書け、とも言っているらしい。あほじゃなかろうかと思う。度し難いほどのバカに違いない。
 かりに「RICOH LENS P10 4.9?52.5mmF3.5?5.6 VC」なんてのがカメラユニットの名称だとしたら、ぼくなんか、それを見ただけでうろたえてしまいユニットを地面に落としてしまうだろう。(まだ、つづく)

追記
 P10の「P」の意味。
 Pクイズの正解はPetit(プチ)。twitterやメールで応募していただいた中で2名の方がドンピシャ。粗品を送りますから住所と名前を知らせてください。“準正解”はPico(ピコ)。こちらは多かったですね。ピコはねえ…1/2.3型CMOSはいくらなんでもピコサイズではないでしょうよ。で、Picoはハズレにしました、ごめん。なお、リコーは公式にプチのPとは言っておりません。「Pには特別の意味はありません」がリコーの公式回答です。でも、その回答のあとに「Smallよりも小さいからPetitのPとでもしておこうか、という話もありました」と裏話を加えてくれました。
 皆さん、ぼくと遊んでくれてありがとうございました。愉しかったです。