屈曲沈胴プリズム退避鏡筒

キヤノン・IXY 50S
 IXY 50Sの最大の特長は内蔵ズームレンズに「屈曲沈胴プリズム退避鏡筒」方式を採用していることだ。この長ったらしく即物的ネーミングは最近のキヤノンの“特長”で ―― ちょっと話が横道にそれるが、特殊レンズコーティングの「SWC」にしたってその意味するところは「SubWavelength Structure Coating (サブ波長構造コーティング)」なのだ。ニコンのナノクリ(ナノクリスタルコート)やペンタックスのABC(エアロ・ブライト・コーティング)のように、もうちょっとシャレたネーミングができなかったのだろうかと感じたもんだけど、そのSWCの上をいくようなしゃれっ気のない論文の題名のような「屈曲沈胴プリズム退避鏡筒」という名前を聞いたとき思わず「ぷっ」と吹き出してしまった。

 「屈曲沈胴プリズム退避鏡筒」とは、並んだ単語をそまま分割していけばどういうものかだいたいわかるはずだ。「屈曲」は屈曲型とか折り曲げ式と呼ばれているプリズムを使って光路を直角に折り曲げる方式。「沈胴」は、そうあの沈胴式のレンズである。「プリズム待避」は屈曲式レンズに使用するプリズムを逃がしてスペースをかせぐことの意味。「鏡筒」はレンズを包み込む装置のこと。…いまいち、よくわからんか。


 ぼくの説明がツタナイから、もうひとつレンズの構造が伝わらないでしょうから、この動画をどうぞ。YoutTubeにアップロードした約20秒ほどのアニメーション。音無し。キヤノン提供。これを見れば「屈曲沈胴プリズム退避鏡筒」がどんなものか一目瞭然のはず。

 まず、メインスイッチをONにすると「沈胴式」のズームレンズが前にせり出す。と同時にボディ内に組み込まれた「屈曲型」ズームが伸びるとともに「プリズム」が、沈胴式ズームの光軸上に移動する。これで撮影スタンバイ。撮影が終わってメインスイッチをOFFにすると、プリズムがするするっと横に「待避」してその空いたスペースに沈胴ズームの光学系が収まる。
 このような複雑な光学系を採用したのには理由は2つ。1つは薄型ボディが作れること。もう1つは高倍率ズームが内蔵できること。
 このへんの話は次回でおいおいと。