近づける広角レンズとそうでない広角レンズ(その1)

リコー・GXR+GR LENS A12 28mmF2.5(ベータ版)
 人間の写真的視角は時代とともにだんだんと広角化してきているように感じる。少なくとも、ぼくはそうだ。
 写真を始めた数十年前は、35mm画角がぼくたちにとっては標準的な「広角レンズ」であった。28mm画角のレンズは、35mmレンズよりも“一段上”のちょっとした憧れの「広角レンズ」であった。その頃の感覚で言えば24mm画角は「超広角レンズ」だったし、21mm画角ともなれば「特殊広角レンズ」だった。それが今では24mm画角でも、ごく一般的な当たり前の広角レンズとなっている。21mm画角の写真を見たって特段、驚きもしない。私たちの写真的視角が広がっている証拠だ。

 昔のことだけど、35mm画角で充分に広角感が味わえていたころに28mm画角を使い始めたときは、おおっカッコいい、と日常の写真的視角から一歩進んだ世界に酔いしれた。そのためもあって、少しずつぼくたちの「標準レンズ」は35mmから28mmに変わりつつあった。
 でも、まだまだ写真の若造だったから、その微妙な画角の違いこなしがわからず、東京の街をスナップしても28mm画角では少し間の抜けたフレーミングになってしまうことが多かった。35mm画角のように“収まり”のよいフレーミングがなかなかできなかった。


 ちょうどそのころぼくは、京都と東京を往復しながら街角の風景を比べつつスナップ撮影を続けていた。東京を撮るときは35mmレンズの画角がしっくりとしていたのに、京都の街は35mmではなく28mmの画角のほうが自然に撮影ができた。京都の街角を35mmで撮ると視覚 ―― 視角ではない ―― がどうも狭くなり圧迫感がある。いっぽうで、東京の街角を28mmで撮ると少し間のびしてしまう。同じスタンスで撮っていても東京は35mm、京都は28mmがぴたりと決まることが多かった。

 始めの頃はその理由がわからず、どうしてだろうか、と気になりながら、28mmと35mmを使い分けていたのだが、あるとき、おおそうだったのか、と原因がわかった。
 道路の幅の違いだった。気づかないうちに間合い=撮影距離が適正ではなかったのだ。
 道幅が東京と京都では違うので、たとえば道を歩きながら撮影するときに被写体との「間合い」が違ってくる。肉眼は自動的に距離感を補正してアタマの中で撮影距離を決めてしまう。ところがそのままカメラを構えて撮ると、レンズの画角は厳然としていて嘘をつかないために、東京と京都、28mmと35mmで齟齬が出てしまっていた。

  ―― 話がどんどん本題からそれていくが、ええいっそれたついでだ、28mmと35mmの扱いに悩みながら京都の街角を撮影していた頃の写真がこれです。28mmレンズがほんとに多いなあ ――

 というわけで、近づける広角レンズとそうでない広角レンズ(その2)は、明日につづくということで。本日、長々と書いたことは明日の本題のための前振り。