近づける広角レンズとそうでない広角レンズ(その2)

リコー・GXR+GR LENS A12 28mmF2.5(ベータ版)
 昨日は「近づける広角レンズとそうでない広角レンズ」のことを書こうとして、いつものように、つい横道にそれてしまった。所詮ブログなんだから許せ。今日こそ本題に…といってもたいした内容じゃないんだけどね。あ、言っておくけど、最短撮影距離うんぬんの話ではないですよ。

 昨日の話を少し繰り返す。
 28mmと35mmの画角の使いこなしで、28mmレンズを使い始めたころは、それまで愛用していた35mm画角の「間合い」のまま撮影をしていて、思ったようなフレーミングができずに悩んでいた。ところが、京都と東京の街角を撮っているときに「ああ、そうか」と、使いこなしのポイントが(なんとなく)わかって、それがわかってから28mmの「広角レンズ」を使うことが俄然、愉しくなり、東京も京都もごく自然に28mmレンズで撮影ができるようになった。

 28mmを使って街角を写すとき、一歩か二歩踏み出してフレーミングすれば、いままでのような35mm画角ふうの自然な描写になるんじゃないか。と、それに気づき、それからだ、28mmレンズを使ったときはできるだけ前に踏み込むようにした。
 ところが、一歩二歩、前に踏み込むと、どうもヘンな具合の描写になる28mmレンズがあることを知った。


 28mmレンズの中には、一歩二歩、三歩と前に出てフレーミングすると、とたんに描写の表情 ―― 描写特性 ―― が変化するレンズがあるのだ。しかし、同じようにぐんぐんと被写体に近づいても描写特性がほとんど変化せずに自然に撮れる28mmレンズもある。どちらのレンズが良いかと言えば、そりゃあもちろん、撮影距離によって描写特性が変化しないレンズだ。一歩の踏み込みが気軽にできる広角レンズと、できない広角レンズ。

 光学的な描写の話をすれば、一般的に言ってレンズは「ある撮影距離」で最高の描写をするように作られている。いや、作られている、というのではなく設計上そうせざるを得ないらしい。無限遠から至近距離まで同じ描写性能を保つレンズなんてほとんどない。そしてこれまた一般的にだけど、至近距離になるほど収差が目立ってきて描写性能が悪くなるレンズがほどんど(マクロレンズは別だ)。レンズの基本的特性として近距離撮影になるほど「アラ」が目立ってくるからだ。

 広角レンズの中には、球面収差だけでなくディストーションやディフォルメーションの影響を受けて、近距離撮影になるほど微妙な歪みや不自然な遠近感、ボケ味の急激な変化が強調され、それが原因で「近づいて」撮れないレンズがある。しかし、いっぽうで被写体に近づいても歪みはほとんど目立たないしボケ味の崩れもなく遠近感も自然なままの、不思議な、レンズもある。理由は収差のあるなしではない、収差があっても近づけるレンズもある。
 つまり、ですね、リコーの28mm画角のレンズは、GR1のころから「近づいて撮れる28mmレンズ」だったわけで、このA12 28mm画角のレンズを使ったときも、ああやっぱりリコーの28mmレンズなんだなあ、とちょっぴり感動した。一歩と言わず、二歩三歩の踏み込みができるレンズなんですよ。