素晴らしい描写力のレンズ

ニコン・D700+トキナー・AT-X 16~28mmF2.8 Pro FX
 どうしてテレ側を35mmではなく28mmに止めたの? という疑問に対して、トキナーが言うには、「一般のユーザーにも使いやすいように通常広角域の28mmを採用いたし、24mmだとユーザーから見て使いづらいと判断しました」と、ちょいとワケのわからん回答が戻ってきた。で、もう少しくどく質問すると、「フルサイズ判で周辺画質、光量、歪曲をプロの方に納得してもらうには、28mmが限界でした」ととても正直な答えをしてくれた。

 前玉がこのクラスの広角ズームレンズにしては、そうとうに飛び出しすぎている点についても、「2000万画素以上で十分な性能を発揮させるためには、このようなレンズ前玉が出っ張るレンズ設計にしないと性能が確保できません」と。
 うん、なるほど、素晴らしい描写性能です。大きく重く、そして欲張らないスペックのレンズならではの写りであります。“信頼できる写りのレンズ”、とでも言えばいいか。そう、ちょうどオリンパスのEシリーズ用のスーパーハイグレードレンズと似たところがあって、良い意味で「過剰品質」という感じがしないでもない。16~28mmというストイック的な画角も、「24mm単焦点レンズに贅沢なおまけがついたレンズ」と考えてみては納得ができるのではないか。


 AFでレンズが駆動するときにその動力(アクチュエーター)にはDCモーターを使っているのだが、レンズ回転角度を検知するセンサーにGMR(巨大磁気抵抗効果)センサーを採用しているのがこのズームレンズのもう1つの特長。一般の多くのレンズの回転検出センサーと違ってGMRセンサーを使用することで位置検出時にタイムラグがきわめて少ないというメリットがあるそうだ。
 ちょいと子供じみた表現をするなら、ピッと動いてクイッと正確に止まる、ピントはバッチリ、ということになりますか、ね。

 ただ、高精度なGMRセンサーを使ったこの16~28mmズームには1つ「痛い代償」があって、それは一部のカメラボディとのAF制御が正確にコントロールできないことだ。とくにニコンのフィルム一眼レフカメラでは、「F6、F100、F80以外の機種ではAF作動ができないのでMFで使用してください」と、カタログなどに注意書きが加えられている。
 つまり、F5やF4などのカメラではGMRセンサーを使った位置検知との相性が悪いようで微妙にピントずれが起こるらしい(ニコンの一部のレンズにもGMRセンサー採用のレンズがあるようだけど、そのGMRとトキナーのGMRとモノが違うようですね)。でも、ま、これは、いまはしょうがない、と諦めることですかねえ。トキナーも「なんとかしよう」とがんばったようだけど、アチラを立てればコチラが立たずの、苦渋の決定だったようです。