たぶん「世界初」のフォーカルプレーンシャッター

キヤノン・EOS Kiss X50+タムロン・18~270mmF3.5~6.3 Di II PD
 このKiss X50の話の続きをしようと思いつつも、なんだか多忙でして、すっかり“マ”があいてしまった。というわけで、久しぶりに話を続けますね。

 「タナカさん、X50のシャッターのこと、知ってる?」と、あるカメラ開発者から電話がかかってきた。「いいえ、よう知りまへんけど…。でも、使うててどうもヘンな感じなんですわ」と、ぼく。
 つまりですね、X50のフォーカルプレーンシャッターは「後幕」だけしかなく、「前幕」がないというのだ。超簡易型フォーカルプレーンシャッター。キヤノンはこれについては、公式には黙して語らず。でも、しつこく聞いたら、しぶしぶ教えてくれたけど。

 フォーカルプレーンシャッターというのは(カンタンに言うけど)前幕と後幕の「隙間」を広くしたり狭くしたりして、その隙間が高速で撮像面を走行することで露光時間をコントロールする。低速になるほど隙間が広くなる。すなわち、前幕が走ってしばらくしてから後幕が走って露光が終わる、ということもある。逆に、高速シャッタースピードでは前幕と後幕の隙間(スリット幅)が狭くなり、前幕と後幕がほぼ一緒に撮像面の前を走行する。


 後幕しかなければ、じゃあ、いったいシャッタースピードをどのようにコントロールしてるのか。撮像センサーそのものが受光を電気的にON/OFFする、いわゆる電子シャッターなのだ。撮像センサーにシャッター機能が備わっているなら、後幕なんかイラんじゃないか。そう考えるのも当然。
 でもしかし、詳しいことはわからぬが、「いまは」どうも後幕は必要らしいのだ。

 このへんの、もっとディープな情報が知りたくて twitter で、「X50のシャッターの秘密のこと知ってますか?」とツブやいた。けれど誰もナニも反応がない。知ってても言えないのか、なーんにも知らないのか。いや、ただ一人だけ、韓国のカメラメーカーの知人から、「かくかくしかじかですよ、ウチではすぐに分解して徹底的に調べましたよ」とメールが来た。
 むろん韓国のカメラメーカーだけでなく、国内のメーカーも調べてるに違いなく ―― どのメーカーもそれを採用したがっている、理由はのちほど ―― 事実、ある開発者と話をしていたら、「いやあ、難しいのは後幕で閉じるときのタイミングなんですよ、いったいどうしてるんでしょうね」と不思議がっていた。カンタンなようで難易度は高い。

 撮像センサー自身による電子シャッターを採用した一眼レフカメラは、いままでに数機種あったけど、X50のような超簡易型フォーカルプレーンシャッターを使ったという話は聞いたことがない。もちろん、キヤノンでは「初」の採用だし、おそらく世界でも「初」ではないか。