特殊レンズコーティングの技術

ペンタックス・645D+D FA645 25mmF4

 デジタルカメラの645Dだけでなくフィルム645カメラにも使用できるこのD FA645 25mmF4レンズの正式な名称は、「smc PENTAX-D FA645 25mmF4 AL[IF] SDM AW」である。この長い名称から、非球面レンズ(AL)内蔵のインナーフォーカス(IF)により超音波モーター(SDM)でAF駆動し防塵防滴仕様(AW)であることがわかる。ところが、この長いレンズ名称にも“記載しきれない”注目すべき「機能」をいくつか備えている。
 その1つが、ペンタックスが独自開発した特殊レンズコーティング・ABC(エアロ・ブライト・コーティング=Aero Bright Coating)を採用していることだ。簡単に言えばゴースト/フレアーの発生を抑え込む(出にくくする、目立ちにくくする)働きをもつレンズコーティング。


 こうした特殊レンズコーティングの技術は、ニコンのナノクリスタルコート(超低屈折率膜)やキヤノンのSWC(SubWavelength Structure Coating-サブ波長構造コーティング)があってすでに製品版レンズに活用されている。ペンタックスのABCもそれらと基本的には同じレンズコーティングである(厳密に言えば構造や製法が微妙に異なるのだが、その説明がややこしいうえに各社とも機密事項になっていて詳細は不明)。
 ゴースト/フレアーの大幅低減のためのこうしたコーティング技術は、非球面レンズの大型化と大曲率化、特殊レンズ硝材の発見と発明、とともにレンズ性能を飛躍的に向上させるための「三種の神器」ともいわれている。

 とくに25mmのような超広角レンズでは ―― 645Dでは35mm判換算で約19.5mm相当の、フィルム645では約15.5mm相当の画角となる ―― 画角が非常に広いためもあってレンズフードがほとんど役に立たないし、写る範囲も広いからあちこちから有害光線が入り込む。そのためゴーストやフレアーが目立ちやすくなり画質の低下を招く。
 それを防止(目立たなく)するのがABCのような特殊レンズコーティングであるのだが、この技術がめちゃくちゃ難しい。レンズを作っているメーカーはどこも、いま優先順位ナンバーワンで開発を進めている注目の技術でもあるわけです。