特殊レンズコーティングのつづき

ペンタックス・645D+D FA645 25mmF4

 昨日の特殊レンズコーティングの話の続き。以前にもレンズコーティングの話をココでしたような気もするが、ま、いいか…。

 レンズ描写でコントラストや写りの切れ味を損なう大きな要因はフレアーだ。ゴーストもフレアーの一種と考えれば画質低下の要因となりうる。フレアーが起こる原因のもっとも大きなものはレンズ表面の反射。レンズの表面反射を少なくすればそれだけ透過率もよくなる。ヌケも良くなる、適度のコントラストのある優れた画像が得られる。そのはたらきをするのがレンズコーティング。
 で、そのコーティングの中で際立って表面反射を防いで光の透過率を高めてくれるのが特殊レンズコーティングというわけだ。

 このコーティングは材料にどんなものを使うかも難しいのだが、それ以上に難しい、とも言われているのがレンズ表面にコーティングする方法だ。
 通常のレンズコーティングは真空状態にしてコーティング材を蒸着させているのだが、ニコンのナノクリスタルコートもキヤノンのSWCも、そしてペンタックスのABCも「蒸着」ではなく「塗布」している。この塗布は特殊技術で手間がかかり金もかかる。
 このへんの塗布技術についてはどこのメーカーも内緒の内緒にしていて、詳しいことはさっぱり教えてもらえない(ぼくが聞いたって、しょせん、猫に小判なんだけどね)。


 こうした特殊レンズコーティングには、もう1つ大きな難題がある。それは「柔らかく壊れやすい」ことだ。ハードコーティングではなくウルトラソフトコーティング。指先で軽くそっとなでるだけでコーティングが破壊されてしまう。めくれてしまうのだ。

 ゴースト/フレアーをもっとも効率よく防止するにはレンズの第一面にコーティングするのが理想的なのだが、触れただけで壊れてしまうようなヤワなものなので、それができない。であるからして、ニコンもキヤノンもペンタックスも、外部からゼッタイに触れられないような構成レンズ群の中のレンズ面に塗布している。なおかつ、レンズ組み立て工程でもよほど慎重にレンズを扱わないと、せっかく塗布したコーティングが壊れてしまう。

 将来的にはハードコーティング化できるように、そして複数枚のレンズ面に塗布できるように各メーカーともガンバッテ研究しているようだが、そのゴールにもっとも近いのがペンタックスのABCだ、とも言われている。(これは聞いた話だけど、学会でペンタックスの担当者がABCの技術発表をしたとき、あちこちの出席者から驚きの声が出たらしい)