じゃじゃ馬カメラ

シグマ・SD1+30mmF1.4 EX DC

 SD1はその正式発表前からアルファー版ベーター版製品版などをもうかれこれ6ヶ月近く使い続けている。
 気分がゆったりとして天気も良くて、今日はなんだかいい写真が撮れそうだなあ、と思ったときにこのSD1を持ち出して撮影をしていた。つまりそんな気分良好、天気晴朗のときでないと、SD1の「実力」を充分に引き出して使いこなすのにぼくはいつも難渋する。
 SD1が使いこなせないのは、ぼくの未熟な撮影技術のせいもある、とわかっているのだけれど、しかし、SD1それ自体が使いこなしのとても難しいカメラであるためだ(と、カメラに責任を負わせるのはいけないことだが)。誤解を恐れずに言えば、じゃじゃ馬のようなカメラ、か。

 AFで正確なピントを得ることが難しい、合わないことが頻発する ―― ぴたりっと狙ったところにピントが合ってくれれば素晴らしい描写なんだけれど。オートホワイトバランスはまったく信用ならない ―― 当たればいいのだけどまるで宝くじ並み。AE(測光)が不安定で露出が決まらない ―― 気まぐれな女性と付き合っているような気分で露出補正(なだめすかして)して撮らざるを得ない。
 すなわち、SD1を使いこなすナンバーワンのポイントこそは、カメラのオートに頼って撮ってはイカンぞ、カメラを信用してはイカンぞ、ということ。


 SD1のオートをやめて、徹底してマニュアルで撮影すれば、ほぼ期待通りの写真をものにすることができる ―― ただしピント合わせだけは、ファインダーを覗いてのMFでは正確なピント合わせはとても無理だ。気まぐれなAFに我慢しながらそれを使わざるを得ない。
 露出はマニュアル。ホワイトバランスはプリセットで、必ずRAWで記録。手ブレを防ぐために手ブレ補正レンズか三脚を使用して、ピント合わせは何度もAF測距を繰り返したうえで複数枚撮っておけば、撮影APS-Cサイズ判のFoveon X3センサーの実力を引き出して、それはそれは素晴らしい写りの画像が得られる。

 たとえて言えば、日産のスカイラインのつもりで乗ったのに、その中身はまるでレーシング・フェラーリだった、というようなもの。
 ふつーのセダン車のつもりでいたら、じつはレーシングカーだったというんだから運転はめちゃ難しい。乗り心地は悪い。サーキットのような舗装された広い道でないと思ったように走らせることはできない。デコボコ道は走れない。スムーズに走らせるには優れたドライブテクニックが必要不可欠。エンジンは高回転を維持していないと満足にギアチェンジもできない。前方も後方も視界は悪い。レーシングカーだから「走る、曲がる、止まる」のポテンシャルはひじょうに高いけれど、扱いこなすのが至難の業……。でも、べらぼうに速い(つまり、良く写る)。
 SD1はそんなカメラのような気もしないでもない。