マニュアルに徹したカメラにすべきだった

シグマ・SD1+85mmF1.4 DG HSM

 いまさら言っても仕方ないことだけど、SD1は、マニュアル操作に特化したカメラにすればよかった。と、使っていてつくづくそう思った。

 ハイレベルのユーザーだけを狙って、とことんマニュアル操作にこだわり、機能も徹底してシンプルにする。媚びを売らない孤高のカメラ、とでもいうか。
 そのほうが、約70万円という価格にせざるを得なかったことも考えれば結果的にはそのほうが良かったのではないか。そうしたことができるのも、Foveon X3という特殊なセンサーと、SIGMAという“特別な”会社だからこそ思い切ったことができたような気もしないでもない。

 測光モードは多分割測光などいらない。スポット測光と中央重点測光だけでよい。だから、プログラムAEも絞り優先AEも必要ない。マニュアル露出モードだけでいい。ISO感度は基準(最低)ISO感度と、もう1段高感度があれば十分だ。なによりも画質を最優先するカメラなのだから、ISO800やISO1600なんて高感度はまったく必要ないじゃないか。高ISO感度で撮りたいならSD1以外にSD1以上に素晴らしいカメラがいっぱいある。連写だって高速なものはいらない。ゆっくりでもいいから、同じリズムでたくさん撮れるようにしてほしい。
 ただしピント合わせだけはAFは欲しい。いまや、高画素と画像サイズのことを考えれば、正確なピント合わせのためにはMFよりもAFのほうが断然、有利だからだ。たとえばF1.2やF1.4などの大口径レンズをMFでファインダーを見てピントあわせするなんて至難の業なのだ。


 11点測距なんていらなかった。オリンパスからAFセンサーを譲ってもらったって、それを満足に使いこなせないのだから、はじめっから中央1点だけでいい。その替わり徹底的にAF測距性能の正確さを目指す。
 ホワイトバランスモードは中途半端で気まぐれなオートなんていらない。太陽光モードとマニュアル・プリセットモードがあればいいじゃないか。いずれにしても、このカメラでJPEGだけで撮影するユーザーなんてほとんどいないのだから、RAWで撮っておけばホワイトバランスなどあとでどうにでも調整できる。JPEG記録は不要。

 ポートレートモードや風景モードなど初心者向けのカラーモードも必要ない。スタンダードまたはニュートラルモードだけでいいのではないか。
 これだけ省略すればずいぶんとすっきりする。これなら、もっともっと注目されるカメラになっただろう。
 一枚一枚を大切に念を込めて撮影をする。そうせざるを得ないカメラが、いまこそ一台くらいあってもいいんではないか。失敗すれば、それはすべて自分のせい。よく写らないことをカメラやレンズのせいにしない、できないカメラ。あらゆるユーザーに良く思われようと八方美人的カメラではなく、ガンコ親父のようなカメラ。

 ただ、SD1でつくづく欲しかったなあ、と思ったのは、ライブビュー撮影機能と、そのモードでのコントラストAFの機能だ。コントラストAFにスピードなど要求しない。確実にピントが合ってくれさえすればよい。コントラストAFが難しいというのであれば、拡大表示モードを使ってでもピント合わせはマニュアルで正確に合わせられるではないか。
 SD1の次、もしフルサイズ判のFoveon X3センサーを搭載したカメラ(数年後に出てくるような気もしないでもない)を企画しているのであれば、とことんマニュアル操作、というカメラにしてはどうだろうか。