未来的なカメラ

ニコン・Nikon 1 V1+1 NIKKOR VR 30~110mmF3.8~5.6

 新しい映像表現であるモーションスナップショットのほかに、もう1つ、新しい撮影機能がある。スマートフォトセレクターと名付けられたものがそれ。こちらは“新しい映像表現”とはいえなく、どちらかと言えば“便利撮影機能、安心撮影機能”といえるものだ。
 シャッターを半押しすると30fpsの高速スピードで静止画(フル解像度)が順次プリキャプチャーされる。「ここだっ」とチャンスにシャッターを全押しすると、その時点で前後20カットの写真が、秒間30コマの連写速度で撮れる。20カットの内訳はシャッター全押しの「前」が12コマ、全押ししたカットが1コマ、全押し「後」が7コマだ。

 撮影者が、「チャンス」と思って撮った瞬間でも、どうしてもタイムラグが生じてベストの瞬間を逃すことがある。動きの速い被写体ではとくにそうだろう。ところが、このモーションスナップショットは、「チャンス」の前後をたくさん撮っておいてくれる。よほどタイムラグのノンビリした人でない限り「チャンス=決定的瞬間」を逃すことがない。
 さらにNikon 1は、その20コマの中から「これは良く撮れました」とカメラが判断して、5カットを自動的に選び出す。残った15カットは、「これはいらないよね」と捨ててくれる(ちょっと勝手すぎるけど)。その選ばれた5カットの中から、撮影者自身が互いに見比べながらベストショットを選びなさいね、というもの。「いろいろ好き嫌いもあるでしょうから自分で選んでちょうだい」というわけだ。
 残念ながら、勝手に捨てられた15カットは撮影者自身は再確認することはできない。闇に葬られたまま……。

 20カットから5カットを自動的にNikon 1が選び出すわけだが、その選択の基準が不思議なのだ。詳細がわからない。相当に複雑な条件を加味しながら写真を見比べて判断しながら、最終的に5カットを選ぶそうなのだが ―― たとえば、人なら目をつむっているカットとか、髪の毛が顔に隠れているカットとか、横を向いているカット、ピントとか露出などなど ―― これ以外にも、あれこれ「大切な条件」もあるそうだが「それは内緒です」と教えてもらえなかった。


 このスマートフォトセレクターの撮影機能のことをニコンのある開発担当者は、「念のためのもう1枚、の必要ない撮影機能」だといっていた。うんウマい表現だ、と感心した。

 ところで、Nikon 1に新しく採用された1インチ型の約1010万画素CMOSセンサーのサイズは13.2×8.8mm。フォーサーズセンサーが17.3×13.0mmだから、ちょうど半分ぐらいの大きさと考えればよい。ニコンが自社で開発設計して、それをセンサー製造メーカーに作ってもらったものである。
 この新開発の1インチ型センサーが、なかなかの実力派なのだ ―― 高速読み出し速度(59.95fps)とか像面位相差AF(73点)機能は別にしても ―― 。とくに高感度の画質が良い。予想以上だ。試しに、オリンパスの最新型のE-P3と比べてみた。高ISO感度でのノイズを中心に見た画質についてだけ言えば、1EV程度Nikon 1のほうが勝っていた。低ISO感度の画質や、解像描写力だけを比べてみれば、それは仕方ないことだがセンサーサイズが大きく画素数も多いE-P3のほうが良かった。

 フォーサーズセンサーの半分の大きしかなくて、この画質ならナンの文句があろうか、優秀ではないかと、ぼくはそう評価したい。画質だ画質だと、ワケむちゃにそれだけを望むならフルサイズ判か中判カメラを狙えばいい。いま、カメラの選択肢はいくらでもある。
 フルHDの動画撮影中にフル解像度の静止画がパッパッと撮れる、60コマ秒もの高速連写ができる、10コマ秒の高速連写で高速AF追従させて誰でもがカンタンに撮れる(上の写真、こちらに高速で向かってくる山手線の車両を10コマ秒AF連写)、などなど「これからの新しい時代のカメラ」として素晴らしい素質を備えた未来的なカメラだ。