キヤノン伝統の「奇妙な仕様」

キヤノン・PowerShot G1 X

 前回のブログで、G1 Xは近距離での撮影が苦手だぞ、と書いた。それについて、とくにG1 Xの最短撮影距離の数値で ―― たぶんキヤノンのホームページを見てのことだろうけど、ぼくの twitter に質問や疑問がいくつ投げかけられた。
 「公式には、通常・マクロモードともに最短はワイドで20cm、テレで85cmとなっているぞ」と、いうもの。このG1 Xのスペック表ですね。

 じつは、ここに記載されている「撮影距離」は、通常撮影モード(P/A/S/Mなどの撮影モード)と、AUTO撮影モード(完全カメラ任せの撮影モード)のデーターが混在して記載されているのです。
 話がややこしくなるうえに、揚げ足を取るようでイヤなんだけど、そこに書いてある「通常」というのはAUTO撮影モードを選択したときのもの。「マクロ」のところは通常撮影モードでのものなのだ。本来ならば、「通常」のところには「40cmー∞(W)/1.3mー∞(T)」と明記しなければならないのに、そうなってなかったもんで、皆さん“混乱”したのだと思う(ぼくも始めは混乱したんだけど)。

 ちなみに、こちらはG12のスペック表だけど、ここの「撮影距離」のデータは通常撮影モードでのことで、まったくモンダイもない。なぜ、G1 Xのスペック表記をキヤノンがアンなふうに書いたのか、ぼくにはわからない(ただ単純な誤記とも思えない)。


 G1 Xは、フォーサーズのセンサーよりも“ひと回り”も大きな1.5型CMOSセンサーを採用した。そのセンサーのサイズをカバーする4倍ズームレンズで、なおかつ高い描写性能を保ちつつここまでコンパクトに仕上げたのには感心するが、それが足枷になったのだろうか、近接撮影の機能が犠牲になったとすればじつに残念なことだ。

 G1 Xの近接撮影の話ばかりが続いてしまったけれど ―― 注目すべき新しい撮像センサーのことや、G1 Xの高感度画質の素晴らしさなどについて話をしたかったのだ ―― でも、ついでだから、もう1つだけ、キヤノン・コンパクトカメラの気になるマクロ撮影モードについて。

 G1 XもG12もそうだけどキヤノンのコンパクトカメラの多くは、いったんマクロモードに切り替えてしてしまうと、無限遠はおろか、ちょっとソコにもピントが合わなくなる。これはムカシから現在に至るまでの、キヤノンのカメラに見られる「奇妙な仕様」のひとつだ。新型G1 Xもそうだ(AUTO撮影モードではマクロ域から無限にまでピントが合わせられるけど)。もういい加減に考えをあらためて、こんな仕様はやめてほしい。
 他のメーカーで、このキヤノンのようにマクロモードにセットしたら金輪際、遠くの風景にピントが合わせられなくなるコンパクトカメラなんて、ほとんどない。

 画質はいい。高ISO感度の画質も、とても良くて ―― APS-Cサイズ判のEOS 60Dとトントンかそれ以上、ただし絵づくりの考え方がだいぶ違うようだけど ―― 魅力いっぱいのカメラなんだけど……スムーズに近くのものをクローズアップして写したり遠くのものを素早く写したりできないのが惜しい。