ローパスフィルターの話、その1

ペンタックスリコー・K-5 IIs+DA15mmF4 ED AL Limited

 新しくなったK-5 II/K-5 IIsの最大のトピックは、ローパスフィルターを取り除いたK-5 IIsの存在だ。だから、当然ながらK-5 IIsがメインで、K-5 IIはサブ、いやサブの下、あってもなくてもイイような「アテ」か「ツキだし」みたいなもんか。
 K-5 II/K-5 IIsの関係は、ニコンのD800/D800Eと似ているようだけど、そういう意味ではだいぶ違う。D800Eに対してD800はそれなりの存在意義もあるのだが、K-5 IIには、ちょっとかわいそうだけど、「存在」することじたいその意味は薄い。K-5 IIに対してK-5 IIsのほうがはるかに比重が重い。

 とは、ちょっと言い過ぎてしまったけれど、しかしK-5 IIにはK-5 IIsを引き立てて目立たせる、というマイナーな"存在意義"はある。K-5 IIがあるからこそ主役のK-5 IIsが注目されるのだ。K-5 IIは添景みたいなもんか…。

 K-5 IIsはローパスフィルターレスであるため、どうしてもモアレや偽色が目立ちやすくなる。モアレ/偽色が発生することは、なんとしてでも避けたいユーザーもいる。そういう人たちに対してペンタックスが用意したのがK-5 IIである。たぶんK-5 II/K-5 IIsシリーズを選ぶユーザーの98パーセントは、ローパスフィルタレスのK-5 IIsのほうを選ぶのではないだろうか。ほとんど売れないだろうけれど、残りの大切な2パーセントのユーザーのためにK-5 IIを作った。ペンタックスリコーの良心、と言えなくもない。


 ローパスフィルターはモアレ/偽色を目立たせない"だけ"のために使われている。それ以外の役目はなにもない。画像処理技術が進化してモアレ/偽色などをウマく抑え込めたり、撮像センサーの"都合"でモアレ/偽色が目立たなくなれば、ローパスフィルターなんてすぐに捨てられてしまうもの。役立たずになる。実際に、いまの多くのコンパクトデジタルカメラではモアレや偽色が発生することが少ないので(理由の説明は省略)、ほとんどの機種はローパスフィルターなんて使っていない。

 とにもかくにも、ローパスフィルターの利点はモアレ/偽色を低減することだけ(ただし完全になくすことは不可能だとも言われている)。逆にローパスフィルターの大きな害があって、それは解像描写性を低下させることである。つまり、画像の中の高周波成分(きめ細かなディテール描写)だけを「切って捨てて」しまっている。せっかく、解像して写っているはずの大事な部分をバッサリと切り捨てているのがローパスフィルター。これを「悪玉フィルター」と言わずしてナンといわんか。

 K-5 IIsは、その悪玉フィルターをキレイさっぱりと取り除いてしまったことで ―― モアレ/偽色が目立つシーンもあるかもしれないが ―― 解像描写性の優れた画像が得られるようになった。薄汚れたレース風のカーテンがなくなって窓の向こうの美しい風景がくっきりと見えるようになったようなもんだ。