ローパスフィルターの話、その3

ペンタックスリコー・K-5 IIs+DA☆16~50mmF2.8ED IF SDM

 ローパスフィルターは、一般的には2枚セットになっている。さらに位相板とか波長板とよばれる特殊フィルターも必要で、普通はその3枚で役目をはたしている(と、言われているが、ぼくは専門家ではないので詳細は不明、ツッコまないでほしい)。
 その2枚のローパスフィルターのうち、1枚を取り除くことでローパスの効果を弱めて解像感を向上させようとしたカメラもあった。カメラボディを小さく薄くしようとすると、シャッターと撮像センサーの間のわずかなスペースを確保することも難しくなる。そのためにローパスフィルターを1枚だけにしてしまったカメラもあった。

 ベイヤー方式の撮像センサーを使用するカメラでは、ローパスフィルターをなくしてしまったり、枚数を少なくしたりするとモアレ/偽色が目立ってくる(こともある)。このことは何度も言った。
 しかし、ローパスフィルターをなくしてしまうとモアレ/偽色が、いつでもどこでも、ばんばんと出てくる、と思い込んでいる人がいるようだけど、それは大きなマチガイですぞ。モアレ/偽色は遠景の建物や、細かなチェック柄の洋服など規則正しいパターン模様を写したときに、画面の中のほんのわずかな部分に出てくる(出てくるほうが珍しいのだが)。画面全体のばーんっ、と出ることなんか、まずありえない。


 もしモアレ/偽色が出たとしても、画角、絞り値、カメラポジション、ピントをほんの少しズラすだけでウソのように消えてしまうものだ。市販の画像処理ソフトなどでモアレ/偽色を目立たなくできるものもある。
 これは知っておいてほしいことだけど、自然風景や動物、昆虫、人物などをローパスフィルターレスのカメラで撮影してモアレ/偽色は出ることはない。マッタク出ない、ゼッタイ出ないとは言い切れないが、出たとしても、真っ昼間に幽霊が出てくる確率より低いだろう。 偽色はローパスフィルターあり/なしのカメラでもまれに出ることはあるが ―― 。

 つまりK-5 IIsは、人工物を撮影したときに限ってモアレ/偽色が発生する(かもしれない)というリスクを、覚悟の上でローパスフィルターを完全になくしてしまった。思い切りよくすっかり取り去ってしまったのである(*)。
 その代わりに高い解像描写性、高画質を手に入れたわけだ。ペンタックスリコーも(ニコンも)、そのほうがユーザーベネフィットが高いと考えたのだろう。

(*、正確に言うとローパスフィルターを外した部分に、薄い特殊光学ガラスを1枚入れている。K-5 IIs ではこれを使ってダストリムーバルをしていることと、光路長を調整させる役目をはたしている)