ニコンらしいがニコンらしくないカメラ

ニコン・COOLPIX S01

 小さなカメラだから安い、と言うつもりは毛頭ないけれど、S01を使ってみた印象や備わっている撮影機能や機構などを"総合的"に考えると、実販が約1万5千円というのは少し高い。というのも、たとえば同じニコンのCOOLPIX S3300は、少しボディサイズは大きくはなるが1/2.3型の約1600万画素CCDで、内蔵ズームはの26~156mm相当の光学6倍で光学式手ブレ補正(VR)つきだ。これが7千円そこそこ。S01のほぼ半額じゃないか。

 S01の内蔵ズームは、29~87mm相当の光学3倍。VRはなく、モーション検知式の手ブレ軽減機能が備わっているだけ。このモーション検知とは、撮影状況に応じて自動的にシャッタースピードやISO感度を変更するというもの。いわゆる電子式手ブレ補正とはちょっと違って、うーんなんというか、ややアナログ的な手ブレ軽減機能か。ブレ補正の効果はそれほどは期待できない。

 ISO感度はISO80~1600までのオートのみで変更も設定もできない。ややこしい設定をするカメラでもないから、これはこれでもんくはない。液晶モニターは2.5型の23万ドットだがタッチパネル式を採用。これはいい。いわゆる感圧式なので女性が長いツメでこつこつやっても、ペンのようなものでつんつんしても反応してくれる。静電式に近い操作感もあるが、とうぜんだがピンチイン、ピンチアウトはできない。


 顔認識の機能もあってAFも効く。OFFにはできないので、老若男女の区別なく人にカメラを向ければ顔を認識する。顔を認識しピントを合わせて撮影をすると、ひげ面の男性であろうがしわくちゃのご婦人であろうが、まるで錦糸町の横丁キャバレーのオネーサンのように"厚化粧"されてしまう。これをキャンセルすることができない。1万5千円もするカメラでここまで"潔い"ものはそうはないぞ。

 "ニコンらしい"カメラと言えば、確かにそうだよな…。ニコンは今までにも突然変異のような機能や機構を採用したり常識から思いっきりはずした製品を出してきた。このS01もそうしたカメラの1つかもしれない。
 ただ、いっぽうでは ―― 以下は想像だけど ―― このS01は、台湾かどこかのベンチャー企業が、「こんなカメラの企画ありまっせ、きちんと作って納品しまっさかい、どうでっか」と言ってきたのにホイッと乗っかってNikonの名前をつけただけのような、そんな気もしないでもない。ニコンのマーケ部の人たちが本気で企画したカメラとは到底思えない。使ってみればみるほど、"ニコンらしくない"カメラだなあ、と感じるところもあった。
 短い間だったけどじゅうぶんに愉しみました。ハギワラさん、ありがとうございました。