文句あっかぁ、のライカ白黒写真専用カメラ

ライカ・Leica M Monochrom + sumilux35mmF1.4
 ライカM型のモノクロ専用デジタルカメラ。デジタルカメラではおそらく世界唯一のモノクロ専用カメラではないだろうか。言うまでもないがカラーでは撮れない。RAWで撮ってもカラーにできない。白黒写真専用カメラ。「なんか文句あっかぁ」と、ライカだからできる堂々とした割り切りかた。価格は約90万円、もちろんボディのみ。
 35mm判フルサイズの撮像センサーで画素数は1800万画素。もちろんオンチップのカラーフィルターもないし、ローパスフィルターもない。撮影モードはマニュアルと絞り優先AEのみ。撮影感度はISO320~ISO10000まで(拡張でISO160も選べるが)。標準感度がISO320と"高感度"なのが困るという人もいるようだけど、ぼくはその昔、ISO400のトライXフィルムを常用していたからむしろ大歓迎。

 ボディはM9-Pに似ていて、ライカとしてはとにかくデカい。その外観デザインは、いっさいの飾りっ気がなく(そう、あの赤いライカバッチもない)黒ずくめ。まるで、喪中で気むずかしいドイツのおばさん、という気もしないでもない。
 デジタルM型ライカを使うとき、いつも戸惑うのはカメラをホールドしたときの右手親指の所在なさだ。フィルムM型ライカなら巻き上げレバーに親指を引っかけておくことでひと安心できるのだがデジタルM型ライカではそれができず、なんだかオシリがむずむずしてしまう感じ。


 モノクロ専用のデジタルカメラを使うのは初めてだったので慣れるまで ―― 昔取った杵柄というじゃないか、長年モノクロフィルムを使ってきたからすぐに慣れたけど ―― 正直を言えばやや戸惑った。ついつい"カラーの眼"でモノを見てしまいフレーミングしてしまうのだ。
 画像は大変にシャープ。トライXを思い出しながらISO400で撮っていたが、その画像を見たとき、あまりの鮮鋭さと粒状性のなさにびっくり仰天。豊かな諧調描写もあって、まるで上手に現像したプラスXのような感じもしないでもなかった。なんだか懐かしい。
 使ったレンズは描写性能に不満たらたらだったぼくのズミルックス35mmF1.4だったけど、このレンズがこんなにも良く写るとはライカ M モノクロームカメラを使って初めて感じたことだった。リコーのGR28mmF2.8(ライカLマウントレンズ)も使ってみたけど、そりゃあ素晴らしくシャープでドキリっとするような描写だった。

 そうそう、白黒専用カメラと言ったけど、セピア調(強弱2種類)に仕上げることもできる。白黒モードでは「暖色系」と「寒色系」が選べ、さらに色調の強弱やOFFに設定することもできる。ぼくの好みは白黒モードの暖色系。
 デジタルカメラなのに、ときどき「ふっ」と白黒フィルムを使って撮影しているような錯覚をすることがあって不思議で愉しいときを過ごしました。もちろんぼくにはとても買えませんのでライカには早々に返却しましたよ。